大動脈弁とは
左心室と大動脈の間を隔てる弁です。
左心室から出た血液が全身に送られるために 一方向に流れるように働いて、血液が左心室に逆流しないようにします。

大動脈弁疾患の診断法は
聴診で心雑音を聴取。
心電図、レントゲンなどの色々な検査方法があります。
心臓超音波検査(心エコ− )は簡単で確実な検査法です。
最終的には心臓カテーテル検査を行って病気の程度を調べます。
大動脈弁疾患には主に大別して”大動脈弁狭窄症”と”大動脈弁閉鎖不全症(逆流)”があります。


大動脈弁狭窄症とは
大動脈弁がリウマチ熱や動脈硬化などの原因で固くなって弁口が狭くなる病気です。
大動脈弁口が狭くなると心臓を出る血液量が制限されて全身に充分血液を送れなくなります。重症になると心不全、失神、狭心痛 etc.の症状が出ます。=症状が出ると予後悪いです。(2-6年)
また狭い弁を通して無理矢理血を送ろうとするので左心室の心筋が肥大して壁が厚くなります。=求心性肥厚


大動脈弁狭窄症の治療法は
薬物治療 (強心剤、利尿剤、血管拡張剤) :軽症に
手術 (大動脈弁置換術) :重症に


大動脈弁閉鎖不全症とは
大動脈弁がリウマチ熱、感染性心内膜炎、大動脈解離、先天性などの原因できちんと閉まらなくなって血が逆流する病気です。
大動脈弁が逆流すると穴が開いた柄杓で水をすくうようなもので心臓の効率が悪くなって心臓がくたびれてしまいます。=心不全
左心室に血液が逆流してあふれると左心室が拡大します。 =左心室拡大


大動脈弁逆流の治療法は
薬物治療 (強心剤、利尿剤、血管拡張剤) :軽症に
手術 (大動脈弁置換術) :重症に



大動脈弁置換術の術中写真
機械弁による置換

生体弁による置換術

人工心肺の目的

実際心臓の手術を行うには
無血視野:血が出ていては出来ない
静止視野:動いていては出来ない
心停止が必要
全身の阻血(特に脳と心臓)
心臓の代わりに全身循環を保つ必要
人工心肺が必要


藤沢市民病院心臓血管外科における手術の当日の経過の一般的な例
術当日病棟を出発
手術室入室、麻酔をかける
執刀、胸骨正中切開
人工心肺の装着
大動脈弁の切除、人工弁置換
人工心肺からの離脱
止血、閉創
終刀
ICU入室
説明、御面会

藤沢市民病院心臓血管外科における術後の経過の一般的な例
ICU入室
覚醒
人工呼吸離脱(気管(のど)に入れた管を抜く)
飲水
食事
ICUから病棟へ(3〜5日目)
管(点滴、血抜き=ドレーン)を抜く
歩行開始(一週間目)=リハビリテーション
退院 (約三週目):合併症ある時は遅延
外来通院

抗凝固療法について
人工心肺弁置換、特に機械弁 で置換を受けた方は、手術後人工弁に血液がくっついて固まらないように抗凝固療法を一生続ける必要があります。
ワーファリンと言う薬を服用して定期的に外来でプロトロンビン時間を測定して薬の効き具合を調整します。

心臓弁膜症手術の良い所と悪い所
弁置換の場合手術が上手く行けば病気が一回の手術で治って、その効果が長持ちします。
心臓の手術の安全性も高まってきました。
予定の大動脈弁置換手術では危険性 2-7%(年齢、病態、合併症等によって異なります。)
ただし上手く行かないこともあり得ます。
出血、心不全、脳梗塞、腎不全、感染(肺炎)、その他→死亡、後遺障害、合併症
自覚症状が出る様な弁膜症は手術以外に根治する方法はありません。
心不全を繰り返して真綿で首を絞められるように心臓が弱っていきます。
大動脈弁狭窄症では突然死もあります。


心臓弁膜症手術の危険性
手術自体の危険性
出血、心不全、血栓塞栓症
他(低酸素脳症、大動脈解離 など)
体力低下等による余病(合併症)の発生
脳合併症(脳梗塞、脳出血、麻痺、意識障害)
感染症 (肺炎、創感染、縦隔炎、感染性心内膜炎他)
臓器不全(呼吸不全、腎不全、肝不全、他)
その他
置換した弁に起因する合併症など
弁構造破壊、弁周囲逆流、血栓弁、出血、塞栓症、感染性心内膜炎


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