腹部大動脈瘤の手術

腹部大動脈とは

 腹部の内臓、足に血液を送る太い(2cm)血管が腹部大動脈です。
 この壁が動脈硬化等の原因で弱くなってふくれる病気が腹部大動脈瘤です。

腹部大動脈瘤とは(Abdominal Aortic Aneurysm : AAA )

 腹部大動脈が "こぶ"のようにふくらむ病気です。
 原因は主に動脈硬化で、その他血管の炎症でなることもあります。
 放置すると段々大きくなって破れる(破裂)危険があります。
 通常の2倍程度(4cm)で破裂の可能性が始まり、3倍(6cm)以上で急速に危険になります(年間20-30%)。
 破裂する寸前まで痛く無いことが多い。時限爆弾のような病気。
 破裂すると命に関わる恐ろしい病気です。

腹部大動脈瘤の診断法は

 触診でも分かりますが、超音波検査、CT検査でよりよく分かります。偶然見つかることも多々あります。

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腹部大動脈瘤の治療法は

  • 薬物治療 :治りません
  • カテーテル治療(ステント治療):当院でも開始しました。(2012年1月から)

  • 手術 (瘤切除人工血管置換術):当院では5cm以上で手術適応としています。

腹部大動脈瘤手術は

 瘤になった血管を切り開いて人工血管で置き換える手術です。
 全身麻酔で痛くないようにしてから、お腹を切って行います。

 切り方には大きく分けて二種類あります。
 (その他、小切開法と言う方法もあります)

 お腹を切ったら腸をよけて大動脈に到達する。
 大動脈を確保したら中枢末梢を鉗子で遮断し、瘤を切り開く。
 人工の血管を縫いつけて置き換える。
 血を流して漏れが無いのを確認し、傷を閉じて終了。

腹部大動脈瘤の術中写真

人工血管とは

 特殊なポリエステルで編んであります。
 血が漏れないようにコラーゲン等でコーティングしてあります。
 トラブル(感染、血栓など)がなければ一生もちます。

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藤沢市民病院心臓血管外科における手術当日の流れ(一般的な例)

  1. 術当日病棟を出発
  2. 手術室入室、麻酔をかける
  3. 執刀、腹部大動脈瘤を剥離
  4. 人工血管置換
  5. 止血、閉創
  6. 麻酔をさます
  7. ICU入室
  8. 説明、御面会

藤沢市民病院心臓血管外科における術後の経過(一般的な例)

  1. ICU入室
    ・覚醒してから入室します(例外はあります)
  2. ICUから病棟へ(翌日~)
    ・酸素吸入
  3. 歩行練習(2-3日)
  4. 飲水(5-6日)=おならが出てから
  5. 食事(流動 ー 3分粥 ー 5分粥 ー 全粥)
  6. 術後CT撮影(2週間)
  7. 退院 (約2週目):合併症ある時は遅延
  8. 外来通院

便秘しないように気をつけましょう!

腹部大動脈瘤手術の良い所と悪い所

  • 手術が上手く行けば腹部大動脈瘤が一回の手術で治って、完治します。(例外はあります)
    人工血管は一生もちます。(閉塞、感染等のトラブルがなければ)
  • ただし上手く行かないこともあり得ます。
    術中合併症による死亡、後遺症、余病などが起こることがあります(破裂症例では更に高率)
  • 腹部大動脈瘤をとっても今より元気になる訳ではありません。死をもたらす危ない病変を取り去るだけです。
    今は無症状でも放っておけば段々大きくなっていつか破裂する危険があります。
    ただし破裂してからでは手遅れになりやすいので破裂する前に手術で治すのが原則です。