冠動脈バイパス手術

冠動脈とは

  • 一日10万回も休まず働き続ける心臓に栄養を送る血管です。
  • 大きく左冠動脈と右冠動脈に分かれます。
  • 左冠動脈は前下行枝と回旋枝に分かれます。

冠動脈硬化症とは

  • 冠動脈が動脈硬化で狭くなる病気です。
  • 冠動脈が狭くなると体を動かして心臓が沢山働いたときに心臓に充分酸素や栄養を送れなくなります。これが狭心症です。
  • これが急に起きてきたり以前よりすぐ起きるようになったりするのを不安定狭心症といいます。
  • さらにこれが進行して急に血管がつまってしまうと急性心筋梗塞になります。
    命に関わる恐ろしい病気です。

冠動脈硬化症の診断法は

  • 心電図、心超音波、心筋シンチ、運動負荷試験、ホルター心電図、冠動脈MDCTなどがありますが、心臓カテーテル検査が最も信頼できる検査です。

冠動脈硬化症の治療法は

  • 薬物治療 :軽症に
  • カテーテル治療 (PCI経皮的血管内治療):中等症に
  • 手術 (冠動脈バイパス手術) :重症に

薬物治療、カテーテル治療、手術治療の比較

  利点 欠点
薬物治療 非侵襲(体に楽) 効果が小さい
カテーテル治療
(PCI)
低侵襲(早い、楽、再施行も容易)
薬より確実
薬よりは侵襲性大
再狭窄率が高い
出来ない場合がある
手術治療 開存率が高い
完全血行再建
再手術は1%
傷跡が残る

冠動脈バイパス手術の適応 (どういう病態に行うか)

  • 一枝病変で左前下行枝の近位部病変
  • 二枝病変で左前下行枝の近位部病変を含むもの
  • 二枝病変でカテーテル治療に適さない病態
  • 三枝病変
  • 左主幹部病変
  • 危険にさらされた側副血行路を含む病変

冠動脈バイパス手術の方法は

  • 狭い冠動脈の向こう側にバイパスする血管をつなげる手術です。
  • 全身麻酔で胸を切って行います。

冠動脈バイパス手術の手技

  • 太さ約1.0-2.5mmの冠動脈に太さ約2-4mmのグラフト血管を針と糸で縫い合わせてつなげます。

冠動脈バイパス手術の方法

心拍動下冠動脈バイパス手術(Off-pump CABG )
人工心肺を使わず器具で吻合する場所だけ固定する方法で当院では97%がこの方法です。
人工心肺下冠動脈バイパス手術(On-pump CABG)
重症の不整脈や重症の心不全の方では、従来の人工心肺(リンク人工心肺)を用います。

心拍動下冠動脈バイパス手術の術中写真

手術当日の流れ(平均的時刻)

  1. (8:40) 病棟を出発
  2. 手術室入室、麻酔をかける
  3. (10:00) 執刀開始、胸骨正中切開
  4. バイパスに使うグラフトの採取
  5. 冠動脈バイパスの吻合、止血、閉創
  6. (16:00)手術終了
  7. (17:00) ICU入室
  8. (18:00) 説明、御面会(ご家族は解散し、翌日以降面会時間にいらして頂きます)

術後経過の流れ(平均的経過)

  1. ICU入室 覚醒、人工呼吸からの離脱、気管内挿管の抜去、飲水、食事
  2. .ICUから病棟へ(2~5日目)管(点滴、血抜きの管=ドレーン)を抜く
  3. 歩行練習(5日目~)=リハビリテーション
  4. 冠動脈造影検査(7-10日目)
  5. 退院 (9-14日目)
  6. 初回外来(退院後1-2週)で経過良好なら社会復帰

胸の骨を切る事について

骨折の治療と同じですが、胸にギブスはできないのでステンレスなどのワイヤー、あるいはチタンプレートを使用して固定します。スポーツや力仕事もできます。肋間開胸と比べると痛みは少ないようです。

リスクについて

いわば元気な体を取り返すために払う代償です。タバコを早く止めて、歯周炎を治すとリスクを減らせます。

生命のリスク0.5-2%(年齢、病状により異なります)

合併症のリスク

出血、心不全、長期人工呼吸、脳合併症、感染、腎障害などがあります。