産婦人科

対象疾患

  • 産科医療全般(自然分娩を基本とした周産期管理、母体合併症を含めたハイリスク妊娠管理と分娩、周産期救急を含む)
  • 婦人科悪性腫瘍(子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんなど)の診断、治療
  • 婦人科救急疾患(異所性妊娠、卵巣腫瘍茎捻転、卵巣出血など)の手術治療
  • 婦人科良性疾患(子宮筋腫、卵巣腫瘍、子宮内膜症、月経困難症、骨盤臓器脱など)の診断、治療
  • 月経不順、女性ヘルスケア

診療科概要

2015年より、ハイリスク周産期医療に加え、婦人科腫瘍の治療と低侵襲な鏡視下(子宮鏡・腹腔鏡)手術に重点を置いた新体制となり、9年目を迎えました。
現在、婦人科腫瘍専門医、産科婦人科内視鏡技術認定医、周産期専門医がすべて揃った診療体制で、救急も含めた産科・婦人科領域全般にわたって対応しています。救命救急センターと連携し、産科・婦人科共に緊急手術は24時間可能です。
インフォームドコンセントを重視し、スタッフ全員が高い専門性を共有しつつ、患者さんにとって最善の医療を共に考えご提供できるよう、日々診療を行ってまいります。

初診でおかかりの場合は、緊急時を除き、予約されてから受診いただくようお願いいたします。
婦人科初診は、診療所などから紹介いただいた方を原則とさせていただいていますが、妊娠のために受診される方は、紹介状がなくても電話予約にて受診いただけます。(既に診療所や病院におかかりの方は診療情報提供書をお持ちください)。

現在当科が受けている認定は下記のとおりです。

  • 日本産科婦人科学会専門医制度専攻医指導施設
  • 日本婦人科腫瘍学会専門医制度指定修練施設(認定B)
  • 日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医研修施設
  • 日本周産期新生児医学会専門医(母体・胎児)制度指定研修施設
  • 日本女性医学学会専門医制度認定研修施設
  • 日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構認定連携施設
  • 日本医学会出生前検査認証制度等運営委員会「NIPTを実施する医療機関(連携施設)」

特色(産科)

分娩予約は、随時受け付けています(分娩制限は行っていません)。リスクの高低や分娩経験の有無に関わらず、どなたでも安心してお産を迎えていただけるよう体制を整えておりますので、お気軽にお問い合わせください(外来予約センター直通 0466-50-1105:平日8:30〜17:00)。

原則として自然分娩で行います。外来から分娩まで産科医師と助産師が合同で対応しています。リスクのある分娩は24時間体制で当直している小児科医の立ち会いのもとで行っており、安全で快適な分娩ができるよう、最大限心がけております。

新生児特定集中治療室(NICU)を9床併設し、妊娠28週以降、推定児体重900g以上の早産児が受け入れ可能です。地域周産期母子医療センター、神奈川県周産期救急医療システム中核病院として認定され、県内外から産科救急の搬送を受け入れています。周産期(母体・胎児)専門医を中心に、産科救急をはじめ、緊急手術、母体の合併症や早産児の管理に小児科、麻酔科と共に24時間対応をしています。

医学的理由がある場合は、帝王切開や分娩誘発などを行いますが、希望による計画分娩や無痛分娩は行っておりません。

骨盤位(逆子)、帝王切開既往のある妊娠、双胎(ふたご)妊娠の場合は、帝王切開での分娩となります。

里帰り分娩は随時受け付けています。妊婦健診先からの紹介状をお持ちになって、妊娠32週には当院にいらしてください(経過やリスクにより医師がより早い週数での里帰りを勧める場合もあります)。また、当院での分娩を希望されない方におかれては、他院での妊婦健診をお願いいたします。

当科は日本医学会より「NIPTを実施する医療機関(連携施設)」に認証され、同会から示された「NIPT等の出生前検査の関する情報提供及び施設(医療機関・検査分析機関)認証の指針」に沿って出生前検査を行っています。当院及び連携施設での分娩予定で、NIPT(母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査)を希望される方々を対象としています。

NIPT検査をお考えの方へ

ローリスク妊娠の方は、当科と連携登録しているクリニックで妊婦健診をお受けいただくことができます(妊娠20週及び30週前後の妊娠中後期のスクリーニング時と妊娠34週以降は当科での妊婦健診になります)。ご希望の方は妊娠初期検査を行う妊娠10週前後までに受診いただき、分娩予約をおとりください。詳しくは受診時に担当医までお問い合わせください。

当院でのお産を希望される方へ

2室のLDR室を含めた4台の分娩室を準備しており、妊婦さん及びご家族の方々にはご希望に応じて選んでいただけるようになりました。これまでの分娩室でも、LDR 室外と無線セントラルモニターで連動管理できるようになっていますので、LDR 室を含めた4 箇所に最新式の分娩設備機器を導入した上で、最大限妊婦さんに安心安全なお産をご提供できるようスタッフ一同尽力してまいります。

新生児室

新生児室

ナースステーション

ナースステーション

LDR室

LDR室

病室

病室

特色(婦人科)

日本婦人科腫瘍学会から提示された治療ガイドラインに沿った標準治療を基本とし、多職種が関わりながら、優しさとわかりやすさをもった診療を心がけています。化学療法は外来化学療法室における日帰り治療を原則とし、手術後のケアや緩和ケアなどにも積極的に取り組み、在宅医療支援も他医療機関と連携して行いながら、常に患者さんに寄り添ったチーム医療を行っています。

当科は腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術(早期子宮体がん・早期子宮頸がんに対する根治術)を保険診療として実施できる施設です。安全かつ根治性を第一に考える立場から、厳格な適応基準をクリアした患者さんに限定していますが、2017年1月より早期子宮体がんに対する根治術(リンパ節郭清術を含む)を、2018年8月より腫瘍径2cm以下の早期子宮頸がんに対する腹腔鏡下広汎子宮全摘術を施行しています。

最新の手術支援ロボットda Vinci X surgical systemを用いた内視鏡下手術を行っています。3D視野の下、術者の手指の動きに合わせて自由自在に連動した鉗子操作が可能になりますので、特に骨盤の狭く深い場所に病巣があり、繊細な操作を要する婦人科腫瘍の手術治療に対して世界中で導入実施が進んでいます。現在、婦人科領域では、早期子宮体がんにおける子宮悪性腫瘍手術だけでなく、子宮筋腫や子宮腺筋症など良性疾患に対する子宮全摘術も保険適応となっており、実機操作のライセンスを取得した婦人科腫瘍専門医と産科婦人科内視鏡技術認定医の手術チームにより運用しています。

手術支援ロボットを用いた内視鏡下手術

卵巣・卵管がんにおける薬剤選択に伴う遺伝子検査(BRACAnalysis、HRD検査等)については、ゲノムセンターにおける遺伝専門家(臨床遺伝専門医・遺伝性腫瘍専門医・認定遺伝カウンセラー)による遺伝外来でカウンセリングを保険診療下で実施しています(予約制)。

特定非営利活動法人婦人科悪性腫瘍研究機構(JGOG)の加盟登録施設です。
最新のエビデンスを構築するための多施設共同臨床試験に参加しています。

婦人科悪性腫瘍の治療方針について

初期がんから浸潤・進行がんまで幅広く対応しており、安全で確実な手術を遂行できる態勢で臨んでいます。治療方針はカンファレンスで決定し、合併症や後遺症予防に努め、根治性の追求と共にQOL(生活の質)の向上を目指しています。

鏡視下手術(腹腔鏡・ロボット支援下・子宮鏡)について

3名の産科婦人科内視鏡技術認定医を中心とした診療体制で、侵襲の少ない腹腔鏡下・ロボット支援下手術・子宮鏡下手術を積極的に行っています。良性疾患(子宮筋腫・卵巣腫瘍・子宮内膜ポリープ・骨盤臓器脱など)については症状の有無や妊孕性、年齢などを考慮して治療方針を決めており、ほぼ全例鏡視下手術で治療を行っています。手術内容に応じて創部径が2mm程度の細径腹腔鏡下手術も取り入れています。

子宮鏡下手術や筋腫核出術を中心とした妊孕性温存目的の腹腔鏡下手術については、治療による症状改善のみならず、挙児希望の方に対しては、近隣の不妊専門クリニックと連携した手術対応も行っています。

骨盤臓器脱については、従来の経腟的アプローチによる根治術の他に、一定の適応条件をクリアした方については、腹腔鏡下仙骨腟固定術を行っています。

根治性と低侵襲性を併せもったロボット支援下・腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術の実施適応と判断された方には、当院の手術成績やがん治療に対する最新の知見及び我々の考え方についてご説明した上で実施しています。開腹、腹腔鏡下、ロボット支援下のいずれでも安心して選択いただけるよう体制を整えていますので、お気軽にお問い合わせください。

ロボット支援下での手術の様子

早期子宮体がん根治手術を含め、全例術後平均在院日数2-3日としたクリティカルパスを運用し、早期の社会復帰を実現しています。

救命救急センターとの連携を強化し、卵巣腫瘍茎捻転や卵巣腫瘍破裂、卵巣出血、破裂を含む異所性妊娠などの婦人科救急を24時間体制で積極的に受け入れています。緊急腹腔鏡下手術で迅速に対応しています。

妊孕性を温存する手術や治療にも積極的に取り組んでいます。

不妊症の診療は行っていません。希望のある方は近隣やご希望の生殖補助医療技術のある専門施設にご紹介させていただきます。

産婦人科外来での子宮鏡検査を行っています(予約制)。

産婦人科外来は産科・婦人科エリアに分かれており、より多くの治療を必要とする患者さんの診療を、効率良く行えるよう診察室増枠や処置室を新設しています。

産婦人科外来受付

臨床研究

2019年以降に承認された研究については、「臨床研究の情報公開」でオプトアウトを行っています。

  • 専門医長

    片山 佳代かたやま かよ

    専門領域 内視鏡下手術、婦人科腫瘍、産婦人科一般
    認定/
    資格
    日本産科婦人科学会産婦人科専門医・指導医 日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡) 日本内視鏡外科学会技術認定医(産婦人科領域) ロボット支援手術施行資格(da Vinci certificate) 母体保護法指定医
  • 専門医長

    若林 玲南わかばやし れいな

    専門領域 内視鏡下手術、婦人科腫瘍、産婦人科一般
    認定/
    資格
    日本産婦人科学会産婦人科専門医・指導医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡) 日本内視鏡外科学会技術認定医(産婦人科領域) 臨床研修指導医(厚生労働省)
  • 専門医長

    峰 優子みね ゆうこ

    専門領域 内視鏡下手術、婦人科腫瘍、産婦人科一般
    認定/
    資格
    日本産科婦人科学会産婦人科専門医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡) ロボット支援手術施行資格(da Vinci certificate) 母体保護法指定医
  • 専門医長

    長嶋 亜巳ながしま あみ

    専門領域 周産期、産婦人科一般
    認定/
    資格
    日本産科婦人科学会産婦人科専門医 日本周産期・新生児医学会周産期(母体・胎児)専門医・暫定指導医 母体保護法指定医
  • 星野 亜紗子ほしの あさこ

    専門領域 産婦人科一般
    認定/
    資格
    日本産科婦人科学会産婦人科専門医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
  • 久保倉 優香くぼくら ゆか

    専門領域 産婦人科一般
    認定/
    資格
    日本産婦人科学会産婦人科専門医 日本医師会産業医
  • 相原 隆充あいはら たかみつ

    専門領域 産婦人科一般
    認定/
    資格
    日本外科学会外科専門医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 臨床研修指導医
  • 宮田 杏衣みやた あい

    専門領域 産婦人科一般
  • 薗部 武そのべ たける

    専門領域 産婦人科一般
  • 金澤 茉生かなざわ まお

    専門領域 産婦人科一般
  • 非常勤医師

    今井 雄一いまい ゆういち

    専門領域 婦人科腫瘍
    認定/
    資格
    日本産科婦人科学会産婦人科専門医・指導医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医 ロボット支援手術施行資格(da Vinci certificate)
  • 非常勤医師

    伊集院 昌郁いじゅういん あきふみ

    専門領域 産婦人科一般、生殖医療
    認定/
    資格
    日本産科婦人科学会産婦人科専門医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
  • 非常勤医師

    長 たまきちょう たまき

    専門領域 婦人科腫瘍、産婦人科一般
    認定/
    資格
    日本産科婦人科学会産婦人科専門医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
婦人科 再診
相原
片山
宮田
星野
薗部
長嶋
久保倉
若林
久保倉/相原
新患 長嶋 若林 片山 星野
産科・周産期 若林
金澤/宮田
星野
薗部
久保倉
相原
金澤/宮田
長嶋
薗田/交代制

フォローアップ外来、精査超音波外来を専門外来として、午後に予約制で行っています。
産後健診は、月・水の午前に行っています。

2022年の分娩数は539件、うち帝王切開分娩173件、双胎分娩15件、鉗子・吸引分娩15件、周産期システム救急応需数28件でした。

2022年の手術件数は、791件でした。うち92件は臨時・緊急手術で、救命救急センター経由での緊急手術は28件でした。

2022年における婦人科悪性腫瘍の新規治療数は183例で、初期がん(CIN3、上皮内腺癌、異型内膜増殖症など)を除いた浸潤性子宮がんは78例(頸がん21例、体がん57例)、卵巣・卵管・腹膜がん38例、その他の悪性腫瘍3例などでした。

2022年に当科で施行した婦人科浸潤がんの手術数は113件でした。腹式広汎子宮全摘術11件、腹式準広汎子宮全摘術21件、子宮頸がん・体がんに対する腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術(リンパ節郭清を含む)7件、ロボット支援下子宮悪性腫瘍手術(リンパ節郭清を含む)28件、卵巣・卵管・腹膜がんの根治術・腫瘍減量術37件、傍大動脈リンパ節郭清術23件を含め系統的リンパ節郭清を施行した体がん・肉腫根治術や卵巣・卵管悪性腫瘍の拡大手術、転移性卵巣がん手術、再発腫瘍摘出術などを施行しました。

2022年に施行したロボット支援下・腹腔鏡下手術は333件(ロボット支援下39件、腹腔鏡下294件)で、広汎・準広汎子宮全摘術36件、単純子宮全摘術135件(初期がんや体がん根治術を含む)、筋腫核出術16件、付属器(卵巣・卵管)手術(予防的リスク低減手術を含む)125件、仙骨腟固定術5件、異所性妊娠17件などでした。また子宮鏡手術は35件(内膜ポリープ21件、筋腫摘出14件)施行しました。

化学療法は外来にて日帰り治療で行っています。2022年は773件施行しました。

2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022
子宮頸がん
(CIN3、上皮内腺がんを除く)
3 11 17 20 26 27 20 32 21
子宮体がん
(異型内膜増殖症を除く)
11 29 32 39 38 46 53 49 57
卵巣・卵管・腹膜がん 16 23 31 31 30 48 26 26 38
その他悪性腫瘍 5 7 6 4 2 4 2 3 4
悪性腫瘍根治術 38 77 83 86 96 114 101 100 113
子宮頸部円錐切除術 47 67 65 65 66 67 68 76 72

産科、婦人科共に毎日初診を随時受け付けています。緊急対応の必要な場合のご紹介については直接お電話でご連絡ください。
分娩制限は行っていません。里帰り分娩と共に、ローリスク妊娠患者さんにおいてはセミオープン診療もどうぞご利用ください。

病診連携を大切にし、救急患者さんについては可能な限り迅速に受け入れております。是非ご紹介ください。なお、手術や入院を必要としない患者さんの診療や治療後の検診については、可能な限り診療所の先生方にお願いしたいと考えています。ご協力いただければ幸いです。

2016年10月より、湘南、鎌倉、横浜地区を主とした診療所の先生方と共に“藤沢市民病院産婦人科連携カンファレンス”を行っています。地域の患者さんが常に最新の診断、治療を地元で受けられるような態勢を共有し、“顔の見える”診療ネットワークを目指しています。2021年12月よりオンラインでのカンファレンスを開始しました。お気軽に意見交換のできる会ですので、是非ご出席いただければ幸いです。

藤沢市民病院産婦人科連携カンファレンス

他院分娩予定の方で、出生前検査としてのNIPT検査目的のご紹介の場合は、ゲノムセンター内の出生前相談外来(新患)の予約をおとりください。なお、NIPT検査を当院でお引き受けするにあたり、事前に検査前後の対応条件について確認させていただいています。連携合意希望のご施設におかれては、お電話でお問い合わせください。

なお、妊婦さんには、パートナーの方と一緒にお越しいただくことをお伝えください。診療情報提供書内には分娩予定日と直近の胎児超音波検査所見の記載をお願いいたします。

患者さんのご紹介について

当院の外来診療は「紹介予約制」としています。
患者さんをご紹介いただくときは、事前にFAXまたはインターネットにて診療予約をお取りください。

診療予約のながれ

また、症状が安定し、同じ投薬を続けている場合は、お近くのかかりつけ医で通院治療が続けられるよう逆紹介しています。

外来予約センター(直通)

電話:0466-50-1105

FAX:0466-55-1350

受付時間:月曜日から金曜日 8:30~17:00
※土曜日・日曜日・祝日・12月29日から翌月1月3日を除く

一覧へ戻る