当院でのお産を希望される方へ

 当院でのお産は本来自然現象の中で行われるという原点に立ち返り、自然分娩を基本としています。しかし、“妊娠・出産は病気ではない”を前提としていても、“正常分娩”とは出産を終えて振り返ってはじめて診断できるもので、妊娠中から正常な経過が前もって確約されるものではありません。お産をはじめて迎える方も、経験のある方も、もうすぐ愛しい我が子を抱けるという大きな期待に胸膨らむ一方、無事産まれることへの不安はつきものですし、妊娠経過やお産の進行中、更にお産が終わった後でさえ、母児の命が危険な場面にさらされる可能性がどなたにでも一定の確率にあることも事実です。

 外来から妊婦さんの経過や状態を産科医師、助産師、小児科医が常に情報を共有し、最大限妊婦さんのご不安を和らげ、安心・安全なご出産をご家族も含めて共有することを目指しています。お産には産科医師・助産師が必ず立ち会い、小児科医、麻酔科医と共に24時間体制で当直していますので、分娩中に起こり得る産科異常や突発的かつ危機的事態に迅速な対応が常にできる環境が整っていることが当院の最大の特徴です。また、産科医師は2名の日本周産期新生児医学会周産期(母体・胎児)専門医を含め9名全員が、大学病院や総合周産期母子医療センターでの修練や勤務経験を有しており、17名の助産師全員が日本周産期・新生児医学会の新生児蘇生法講習会(NCPR)を修了しています。
 なお、分娩制限を行っていませんので、どなたでも分娩予約をとることができます。ハイリスク妊娠が占める割合は周産期センターレベルの高さではありますが、初産でも経産でも、リスクのない妊婦さんも等しく幅広く受け入れていますので、新設した外来、内装改修を終えリニューアルされた産科病棟(西館5階エリア)で、私たち産科医師・助産師・看護師一丸となって、お手伝いさせていただきます。

産婦人科病棟

【LDR室について】

LDR室
LDR室

 2020 年2 月10 日、西館5 階の産科病棟にLDR室がオープンしました。LDR とは米国で生まれたシステムで、Labor(陣痛)-Delivery(出産)-Recovery(回復)の頭文字を合わせた略語です。破水や陣痛がきて入院してから、お産を迎えるまですべての時期を同じ部屋で過ごすことのできる分娩室です。

 陣痛室でお産の経過をみながら、お産が近づくと隣の分娩室に移動し、お産の後は病室に戻るという流れに対して、移動することはないのでできるだけ妊婦さんの負担を少なく、待ちに待った出産の時までの大切な時間を、ご家族と共に過ごしていただけるよう、個室タイプの設計となっています。お産になるまではベッドとして使いながら、お産の際には分娩台に変わりますので、スムーズにお産に臨めます。また緊急帝王切開時などベッドを移動せずにそのまま手術室に入れるなど、過ごしやすさだけでなく、迅速かつ可動性に優れる最新型の機器設備を採用しました。また、LDR 室の外でも無線で分娩監視装置が確認できるセントラルモニターシステムを導入しました。妊婦さんやご家族のプライバシーを保ちながら、異常があればすぐに察知し対応できるような態勢ですので、お産の経過で最も大事な安全性が損なわれることはありません。更に、お部屋に設置しているソファーは、特に立ち会い出産をご希望のご家族の方にお使いいただけるようなベッドタイプをご用意し、壁の色合いも家庭的で温かい雰囲気のお部屋を意識した造りに加え、お好きな音楽を流すなどできるだけリラックスして過ごせるように音響設備も整えております。

 ご利用には一定の追加料金(LDR室1日利用あたり、市内在住の方で13,000 円、市外在住の方は19,500 円)をご負担いただくことになります。また、現在LDR 室ご利用の対象としているのは、早産でない妊娠37週以降で、推定体重が2000g 以上の経腟分娩予定の妊婦さん及びご家族の方です。妊婦さんの心身の安定のためにご家族の同伴はお子さまを除く3名までとさせていただいています。また、LDR 室でのお産を希望されても、部屋数に限りがあること等でご利用いただけない場合もあることは何卒ご容赦ください。また小児科医の立ち会いが必要と考えられる場合など、お産の経過によっては途中で陣痛室や分娩室に移動いただくことや、分娩時にご家族の方にはお部屋の外でお待ちいただく場合もございます。安全なお産の確保を目的とした最善の処置を行うためとご協力いただければ幸いです。

新型コロナウイルス感染症の拡大・蔓延が続く社会情勢の観点から、ご家族の立ち会いを現在中止とさせていただいています。入院から分娩まで移動の必要がなく、母児同室など、快適にお過ごしいただける個室としてご利用いただけます。ご希望の方はお申し出ください。

【合併症妊娠、多胎妊娠、早産児への対応】

 総合病院の利点を活かし、合併症妊娠については、各診療科と連携し外来からお産まで対応しています。また二絨毛膜性双胎はお受けしていますが、一絨毛膜性妊娠や三つ子以上の多胎妊娠はお受けしておりません。 9床のNICUを有しており、赤ちゃんの異常や早産児の管理を行っています(当院の対応可能な早産児は妊娠28週以降、推定児体重900g以上です)。

【外来のご案内】

月経予定日を過ぎても月経が来ない場合、“妊娠かな”と思ったら、まず市販の妊娠検査薬で検査することをお勧めします。妊娠は必ずしも子宮内の正常妊娠とは限りませんので、妊娠反応陽性が確認できたら、遅くならないうちに近隣の産婦人科診療所へ受診、または当院の妊婦新患外来を予約してください。

当院の外来診療(妊婦健診)について

◇定期健診の回数は概ね次のとおりです
予定日決定まで 2週間に1回
12〜22週 3〜4週間に1回
23〜35週 2〜3週間に1回
36週〜 1週間に1回

妊娠12週以降は産科外来となります
医師が必要と判断した場合は追加することがあります

【胎児超音波検査と出生前診断について】

 当院では出生前診断としての羊水染色体検査は行っていません。新型出生前診断として現在臨床試験中の母体血染色体検査(NIPT)をご希望の方は、分娩予定日決定後にNIPT施行医療機関(横浜市立大学附属病院など)への予約を妊婦さんご自身でとっていただくこととなります(紹介状は作成します)。
また、妊婦健診中に行う胎児超音波検査も一定の精度で出生前診断の側面を有していますが、健診時の超音波検査で精査が必要と判断された場合は、専門医による精査超音波検査を午後に適宜行っています。より詳細な精査が必要な場合は、胎児診断を専門とする医療機関にご紹介する場合もあります。

【里帰り分娩について】

 里帰り分娩をご希望の方からのお問い合わせ、産科外来のご予約は、平日13~16時(外来予約センター直通 0466-50-1105)で受け付けております。分娩予約後は、お近くの診療所や病院で妊婦健診を受けていただき、妊婦健診先からの紹介状をもって、遅くとも妊娠32週には当院へいらしてください(帝王切開分娩予定の方やハイリスク妊娠、合併症等のある方は、おかかりの健診施設とご相談の上、妊娠28~30週を目途に早めの里帰り分娩をご検討ください)。また分娩時の危機的出血に備え、血液型や輸血時に必要な諸検査など、当院で再検させていただく項目がありますので、ご了承ください。また当院におかかりになって以降は、緊急時対応を行う場合を考慮して、夜間休日を含め居住の中心を里帰り先に原則移していただくようお願いいたします。

【産科セミオープンシステムによる分娩について】

 当院での分娩を予定されている方で、ローリスクと当科が判断した方に限り、当院の連携登録している診療所で妊婦健診をお受けいただくことができるようになりました。“ご自宅から通いやすい”、“外来診療時間が長く、午後や土曜日などにも受診できる”など近隣の診療所・クリニックの長所を活かしつつ、当院では小児科や麻酔科、救急科などスタッフが揃っていることで緊急事態にも安心して分娩できる連携システムです。
しかし、当科ではハイリスク妊娠の妊娠分娩管理のために受診されている妊婦さんも多く、全ての妊婦さんに適応しているわけではありません。またローリスクの方でも、当院での妊婦健診希望の方は従来通り当科で受けることができます。

  • 妊娠初期(妊娠11週まで)に当科を初診し、分娩予約をとった上で、妊娠初期血液検査を当院で行っていただきます
  • 初期検査結果を確認、追加検査の有無、既往妊娠分娩歴や合併症の有無等を検討し、ローリスク妊娠と判断した方(ハイリスク妊娠と判断した場合は当科での妊娠分娩管理となります)が対象となります。
  • 経過が順調な方でも、下記妊婦健診は当科で行います。
    • ■妊娠20週前後の中期超音波検査スクリーニング
    • ■妊娠28~30週頃の後期超音波検査スクリーニングと採血
    • ■妊娠34週以降から産後1ヵ月健診まで(帝王切開分娩予定の方は妊娠30週以降)
  • 連携登録医(診療所)での健診で異常がみられたり、妊娠・分娩に関わるリスクが高いと判断される場合、夜間休日の緊急受診がみられる場合は、ご本人希望の有無に関わらず、当院での妊婦健診に移行します。
  • 当院の連携登録医での妊婦健診に限らせていただいています。条件が合致し、ご希望ある方は連携登録医リストをお示ししますので、お申し出ください。

《セミオープンシステムにおける夜間休日の緊急対応と里帰り分娩との違いについて》

  • セミオープンシステム希望の妊婦さんは、妊娠9-11週頃に施行する検査や分娩予約から利用時の流れに沿って受診いただきます(妊娠初期以降、途中からの参入はできません)。
  • 同システムでおかかりの妊婦さんの夜間休日の緊急受診については、当院で対応致します。受診希望の際にはまずお電話(0466-25-3111)でご連絡をお願いします。
  • 利用時の流れに沿わずに当院で分娩予定の方は、近隣施設でも里帰り分娩扱いで対応します。また、里帰り分娩として分娩予約された方が、当院への里帰り受診前に夜間休日の緊急診療対応を希望される場合には、まずおかかりの診療所や病院に連絡し、診察や指示を受けてください。里帰り受診後の緊急対応は当科で対応します。

【立ち会い分娩について】

 夫立ち会い分娩は約70%の方が利用されています。ご希望される方は妊婦健診や周産期指導時に助産師へお声かけください。特に両親学級の受講を必須とはしていませんが、立ち会い者ご自身が体調を崩されることのないよう、十分自己管理された上でご協力ください。また経過中、母児の状態悪化などで急速遂娩が必要となったり、産まれた新生児に蘇生を要する場合などは退室していただく場合がありますのでご了承ください。

【母乳育児について】

 当院では母乳育児を産後スムーズに行えるように、妊娠中から助産師が外来で関わり、退院後も母乳や育児相談に応じています。母乳育児を基本としつつも、合併症や産後の全身状態などに応じて、褥婦さんが無理なく育児を進められるよう柔軟な対応を心がけています。

【産科病棟へのご面会について】

 入院中のご面会は、他病棟と同様、感染防止の観点から12歳以下のお子様の病棟内への立ち入りをお断りしています。そして赤ちゃんへ面会されるご家族の方は原則、新生児室窓からの窓越し面会となります。個室(有料)入室された場合で、母児同室のご希望がある場合には、対応させていただいていますのでお申し出ください。ただし、同室中のお部屋での面会は、母児同室の理念や感染、セキュリティの観点から、お子さまのお父様、祖父母様に限定させていただいています。ご協力をお願い致します(個室は限りがあり、重症度によって使用状況が変化しますので、ご希望に添えない場合もあります)。