2010年12月25日号 広報ふじさわ…市民の広場  〔 2 / 2 page 〕

ふじさわ探訪

錦地は小生の第二の故郷〜旧三觜八郎右衛門家住宅

錦地は小生の第二の故郷〜旧三觜八郎右衛門家住宅

 7月から、羽鳥3丁目の旧三觜八郎右衛門家住宅の公開が始まりました。

 同住宅は1872(明治5)年に羽鳥へ儒者・小笠原東陽を招いて耕余塾を開いた三觜八郎右衛門家の旧居で、同塾ゆかりの建物です。明治初期の住宅が建設当初のかたちで保存されている、ということだけでも貴重ですが、専門家による調査の結果、材と造作の質が高い、2階座敷の早期の例である、洋風や商家風を加味した外観を有するなど、現存する県内の古建築の中でも特筆すべき建物であることが分かりました。

 建物の規模は、木造2階建、梁間4間・桁行9間(1間=約1.8m)。間取りは、近年に改築された背面と正面の突き出しを除くと、1階は南側に土間を置き、床上部分を6室で構成する、いわゆる六間取の平面で、土間の大戸の外に、さらに格子戸が設けられていました。1尺6寸(約4949cm)角のケヤキ材の大黒柱や、高さ1尺9寸(約59cm)の松材の差鴨居(柱にほぞ差しでつないだ、背の高い鴨居)の見事さは、実際に見て体感していただきたいと思います。

 公開準備の過程で、1874(明治7)年ごろの耕余塾の生徒名簿などとともに、同塾の卒業生である吉田茂元首相からの手紙が発見されました。手紙は、元首相が1894(明治27)年に耕余塾を出てから大学を卒業して外務省に入り、ロンドンへ赴任するまでの経過を報告していますが、その中に「錦地(相手の住む土地への尊称)は小生(わたくし)の第二の故郷」との言葉があり、幼少期に学んだ土地(羽鳥)や三觜家への特別な思慕の念を知ることができます。

※手紙は建物内で展示中



旧三觜八郎右衛門家住宅企画展示会 「伝来の打掛と明治のおもちゃ絵」

とき

1月12日(水)〜29日(土)毎週水・土曜日午前10時〜午後3時

所在地

羽鳥3-15-5

問い合わせ

生涯学習課博物館準備担当【電話】(46)5106、【FAX】(46)5096