2011年10月25日号 広報ふじさわ…市民の広場  〔 1 / 2 page 〕

建立100年目を迎えた龍口寺五重塔

 市内片瀬、日蓮宗龍口寺本堂の右手奥、うっそうとした樹木の中にある五重塔は1910年の竣工。完成して今年で100年目となります。

 塔は白木の総けやき造り、銅板葺(ぶ)き、釘を使わない組み込み式で造られています。屋根の一辺は4.5m、高さは約30m。木造本式五重塔としては県内で唯一のものです。本堂とともに「かながわの建築物100選」に選ばれています。

 塔建設の発願は、のちに日蓮宗管長となる龍口寺第四代、藤原日迦上人(1837〜1916)です。近くに「五重宝塔初重銅瓦寄附 川崎 最初牡丹餅講」、「五重宝塔二重目銅瓦寄附 橘結社中」、「五重宝塔寄附 新橋片瀬講」などと記された碑が置かれていることからも分かるように、造塔にあたっては、多くの檀信徒の寄進がなされました。

 碑にある「牡丹餅」というのは、日蓮が鎌倉幕府に捕らえられ、斬首のために刑場であった龍ノ口へ連行される途中、「桟敷の尼」が黒胡麻の牡丹餅を捧げ、奇跡的に処刑を免れたという故事(龍口法難)にちなんだものです。