藤沢市教育委員会『教育長の窓 No.132』

2015年（平成27年）9月 教育長の窓 No.132

『「子どもたちの健全育成をめざして」　～学校警察連携制度の協定締結～』

夏休みがあけ、学校に子どもたちの元気なえがおとあいさつの声が戻ってきました。今年の夏は、ことのほか暑く、都心では連続猛暑日が更新されました。

思い思いの夏休みを過ごし、自分なりに充実した時間を過ごした子どもたちは、これから秋の行事である、小学校は修学旅行・運動会、中学校は文化祭、白浜養護学校は白浜祭に向けて準備が始まります。中学校では、あわせて前期の期末試験も行われます。子どもたちが学んだ知識を知恵にかえ、実生活の中で生かしていく意味でも、さまざまな体験活動は有意義なものであると思っています。体験を通して身につけた力は、生きて働く力となると考えるからです。たくさんの関わりの中で、子どもたちは活動しており、時としてその判断に迷ったり、考え込んだりするように思います。

学校では、児童生徒の健全育成のために、日々教職員が児童生徒と向き合い、問題行動の未然防止に努めておりますが、子どもたちを取り巻く環境の多様化・複雑化に伴い、学校だけでは解決が困難な問題が増えてきているのが現状です。児童生徒の問題行動が深刻化し、少年非行が凶悪化・広域化し、日々のニュースでも語られることが多くなりました。最近では、川崎市の事件に、多くのみなさまが心を痛めました。

平成14年度に、文部科学省は各地方自治体に、また、警察庁は各都道府県警察本部に対して、学校と警察の連携を強化し、非行防止対策の推進を図るよう通知をしております。藤沢市においても、対教師暴力や器物破損、万引きや家出、インターネット上での匿名性によるトラブル、児童福祉法にかかる犯罪被害といった課題を抱え、その対策について、教育委員会では学校と警察の連携を含め、さまざまな改善策の検討を重ねてまいりました。

学校警察連携制度は、児童・生徒や保護者が抱える問題や悩みに、学校と警察が緊密に連携して支援活動を行うためのもので、協定の締結により、問題の早期解決を図るための支援体制が構築されます。

教育委員会は、児童生徒の健全育成のための一つの手法として、学校警察連携制度の協定を結ぶことが必要であると判断いたしました。協定を結ぶためには、本市の個人情報保護制度運営審議会に諮り、答申を受ける必要があることから、平成24年1月より同審議会と相談を重ね、本年6月に諮問にいたり、7月に答申を得ることができましたので、この8月18日に神奈川県警察本部と藤沢市教育委員会との間で、協定を締結いたしました。
このことにより、警察からの情報が得られるようになり、児童生徒並びに保護者への支援や、周辺環境の配慮を早急に行うことができるようになります。また、警察の有する専門的な知識や手法が、当該児童生徒が抱える問題にとって改善に効果があると判断した場合や、早期に警察の支援・指導を受けることで、犯罪・触法行為の未然防止や拡大を防げると判断した場合、性の逸脱行為・ストーカー被害の疑いがある場合などについて、学校から情報提供を行うことにより、早期に警察の有する専門的支援を受けられ、命や心と体に重大な影響を及ぼす犯罪から児童生徒を守ることができるといった効果が見込まれます。しかし、あくまでも児童生徒への指導は、学校が主体です。学校から警察への支援・指導の依頼については、学校と教育委員会が協議し、判断していきます。

本制度は、あくまでも児童生徒の健全育成を推進するための仕組みであり、藤沢市の子どもたちを「犯罪少年にしない、犯罪被害者にしない」ためのものであると考えております。本制度は10月1日から運用いたしますが、保護者のみなさまに本制度についてご理解いただくため、教育委員会が作成した「お知らせ」を、9月中旬に学校を通してお配りいたしますので、よろしくお願いいたします。また市民のみなさまには、教育委員会ホームページでお知らせいたします。

「学校警察連携制度」についての趣旨をご理解の上、保護者のみなさま、地域のみなさま、今後とも子どもたちの健全育成のために、お力添えをよろしくお願いいたします。