3件を政府等へ提出
〇神奈川県最低賃金改定等に関する意見書
我が国の経済は、昨年のアメリカの金融危機に端を発する世界同時不況により、100年に1度とも言われる未曾有の経済危機に直面しており、底の見えない状況にある。
一方、雇用においても、雇い止めなどで失業した派遣労働者・期間工などの非正規労働者は、全国で12万人を超え、働いても生活保護水準の暮らしさえ維持できないワーキング・プア問題など賃金格差と貧困が大きな社会問題となっている。
政府は平成19年11月、最低賃金法の改正を行ったが、賃金格差と貧困問題の解決と内需拡大の観点からも、生活保護を下回らない速やかな最低賃金改定が図られるべきである。
よって、政府等に対し、平成21年度の神奈川県最低賃金の諮問・改定に当たり、諮問・改定を早期に行い、「同一価値労働同一賃金」の観点に立ち、フルタイム正規労働者の賃金水準への接近を基本に、その改定を図ることなどを要望する。
〇肝炎対策のための基本法の制定を求める意見書
我が国のB型、C型ウィルス肝炎患者・感染者数は350万人以上と推定され、国内最大の感染症として抜本的対策が求められている。感染原因の多くは、輸血、血液製剤の投与、集団予防接種での針や筒の連続使用などの医療行為によるものであり、その中には、医療行政の誤りを原因とするものも含まれている。
こうしたなか、肝硬変・肝ガンの年間死亡者数は4万人を超え、その9割以上がB型、C型肝炎ウィルスに起因しており、既に肝硬変や肝ガンに移行した患者は長期の療養に苦しみ、生活基盤を失うなど経済的にも多くの困難な状況に直面している。
国では、平成20年度から「新しい肝炎総合対策」(7カ年計画)がスタートしたが、法律の裏づけがない予算措置であるため、実施主体である都道府県によって施策に格差が生じている。こうした状況を改善していくためには、早期に法的整備を図り、全国規模で総合的な対策を推進することが不可欠である。
よって、国会及び政府に対し、ウィルス肝炎対策を全国規模で等しく推進するために、肝炎対策のための基本法を早期に成立させるよう要望する。
〇私学助成制度の拡充を求める意見書
神奈川県における園児、児童及び生徒1人当たりの私学助成額は、国の基準額を下回り全国最低水準にあるが、県内の私立高等学校の平均学費の高さは全国でも上位で、初年度納付金額の公立との格差は7倍にも達している。
このため、保護者の経済的負担は大きく、子どもが私学で学びたいと思っていても、経済的な理由で入学を断念したり、学費を稼ぐアルバイトのために満足のいく高校生活を送れない状況を生み出している。
県内の全日制高校への進学希望者は多いが、経済的理由から私立高校を選ぶことができず、やむを得ず定時制・通信制高校を選択する生徒がふえており、定時制・通信制への進学率は、この11年で際だった上昇を示している。
こうしたことから、経済的理由によって子どもたちの学ぶ権利を奪われることのないよう、私学への助成制度をさらに拡充することが必要である。
よって、政府等に対し、私立高等学校等への助成金の削減方針を見直し、私立高等学校等経常費助成費補助金の増額を図ること、神奈川県は平成21年度補正予算と22年度予算で、私学助成の拡充を図ることを要望する。
〇朝鮮民主主義人民共和国の核実験及び弾道ミサイル発射実施に抗議する決議
朝鮮民主主義人民共和国は、5月25日、2回目の核実験を行い、また日本上空を飛び越え太平洋に弾道ミサイルの発射を行った。
これらの行為は、朝鮮民主主義人民共和国に対して、いかなる核実験、弾道ミサイルの発射も実施しないことを要求した国連安保理決議だけでなく、同国が一切の核兵器及び現在の核計画を放棄することに合意した6カ国協議共同声明にも明らかに違反する暴挙である。
現在、世界では、核兵器廃絶に向けた新たな機運が生まれつつある中で、今回行われた核実験、弾道ミサイル発射は世界の動きに対する重大な挑戦であり、世界の平和と安定を脅かす行為である。
日本国憲法の精神に基づき国是である非核三原則を遵守する国とともに、地球上のすべての自然を破壊し、全人類を滅亡させるに足るあらゆる国の核兵器の使用を全面禁止する国際世論を喚起するため、本市は、昭和57年6月に核兵器廃絶平和都市宣言をしている。
ゆえに、朝鮮民主主義人民共和国の暴挙を断じて許すことはできない。
よって、本市議会は、今回の朝鮮民主主義人民共和国の行為に対し、強く抗議するとともに、政府に対し、朝鮮民主主義人民共和国の核実験の中止に向けた措置をとるよう強く求める。
(以上、要旨を掲載)
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