2009年11月25日号 広報ふじさわ…市長対談・市民の広場  〔 3 / 4 page 〕

ふじさわ探訪

高倉・七ツ木神社の
養蚕組合記念石廟(せきびょう)

養蚕組合記念石廟

 七ツ木神社の階段を登った左側に、総高140140140センチほどの石廟(石の霊殿)が祭られています。唐破風(からはふ)付き入母屋(いりもや)造りで、破風の正面に「護蚕祠(ごさんし) 」(カイコを護る祠(ほこら))と記されています。廟身の背面には「大正十二年四月吉日 建之」、左側には「下高倉養蚕組合 創立拾周年紀念」と記されていて、1923年に下高倉地区で養蚕を行っていた人たちが、養蚕や製糸業の隆盛を願い、組合の10周年を記念して建てたもののようです。石廟の基壇には組合長をはじめ55人の氏名が刻まれています。

 当時のこの辺りは養蚕が盛んで、繭から生糸を製造する製糸工場も近隣各地に建設されました。中でも1902年に長後の天満宮の近くに造られた持田製糸場第2工場(第1工場は下飯田〔現横浜市泉区〕)は規模の大きなもので、工場休場の日の長後の商店街は多くの女工たちでにぎわったと言います(『地図に刻まれた歴史と景観1 藤沢市』)。廟身右側の文字はほとんど読み取れませんが、「持田」の2文字が見え、関連がうかがえます。

 藤沢市周辺の養蚕は、この石廟が建てられた大正末年頃をピークに衰退し、かつては畑地を埋め尽くしていた桑の木も、現在では土地の境界などにわずかに見られるだけとなってしまいました。