2012年10月10日号 広報ふじさわ…市民の広場  〔 1 / 1 page 〕

街の話題

かけがえのない命を交通事故から守りたい

藤沢市交通安全協会会長
藤沢市
交通安全協会会長
山崎敏治さん

「27歳の時、自治会の会長に誘われて参加した地区の交通安全対策協議会の活動がきっかけで、地域の交通安全に関わることになったんです」。

山崎敏治さん(城南在住)は、44年にわたる交通安全の活動功績が認められ、このたび内閣府特命担当大臣から「交通対策本部長表彰」を受賞した。

現在は藤沢市交通安全協会と明治地区交通安全対策協議会の会長を務め、79歳となった現在も尊い命を交通事故から守るため、日々活動を続けている。

「地道な活動ですが、続けることに意義があるのではないかと感じています」と、44年間通学路で子どもたちを見守ってきた活動の思いを語った。

チームワークで住民の安全を守る

またこれまでを「地域の交通指導員として、通学路の見守りはもちろん、祭り・花火大会・箱根駅伝・地域の葬式などさまざまな場面で交通整理をしました」と振り返る。以前は交通指導員が地域にいない場合もあったため、自ら率先して出向くなど、精力的に活動した結果、自然に地域の交通安全活動の先頭に立つようになっていた。

通学路で街頭指導を行う山崎さん
▲通学路で街頭指導を行う山崎さん

今日では活動の範囲が多岐にわたり、忙しくもなったが、藤沢市交通安全協会の29人の指導員や58人のボランティア、地域の方と連携しながら、住民の安全を守っている。「指導員のなり手がいないのも事実。多くの方が参加し、先輩方の思いも受け継いでいってほしい」と、今後のさらなる発展にも期待する。

毎日ふれあうからこそ分かるもの

山崎さんが会長を務める藤沢市交通安全協会や明治地区交通安全対策協議会では、年間を通じて、全国交通安全運動や飲酒運転撲滅運動などの多くの事業を抱えるが、今も昔も子どもたちを悲惨な事故から守るための活動を最優先している。

毎日の通学路の見守りのほかにも、安全に対する意識を高めるため、小学校で交通安全教室などを開催する。

真冬のみぞれが靴に染みこむ冷たさや、夏の炎天下での交通整理の辛さも「子どもたちの無邪気な笑顔を見ると、吹き飛びます」と、日々の苦労をいとわない。「毎日ふれあうからこそ分かる、人と人とのつながりを感じられることがうれしいんですよ」と、やりがいを笑顔で語る。

一方で、時代の流れとともに少し残念に感じる場面もあるという。「昔は祭りの交通整理などで車の移動をお願いすれば、好意的に協力してくれたが、最近ではトラブルの原因になることもあります」という。しかし、「交通指導員として立つからには責任がある。事故防止につながるのであれば、強く注意します」と、時には厳しい対応も必要だという。

昨年、市民まつりに参加した時の様子
昨年、市民まつりに参加した時の様子

ルールとは何かを改めて考えてほしい

今日まで活動を続けられた原動力は、家族の支えと地域の方々の協力のもと、“事故を防ぎたい”という強い気持ちだという。今後も体力が続く限り感謝の気持ちをいつも忘れず現役でありたいと話す。

これから年末に向け、事故が増えることも懸念されるため、それぞれが改めて交通ルールについて考え、安全に対する意識を高めてほしいと願う。歩行者に対しては「交通ルールを守ることがあなたを守ってくれる。横断歩道は信号を守って渡る」。車や自転車を運転する方に対しては、「信号を守ることはもちろん、携帯電話やイヤホンで音楽を聴きながらの運転はだめ。事故が起きてからでは遅いですから」と呼び掛ける。

今朝もいつもの通学路で「いってらっしゃい」と、子どもたちに優しく声をかける山崎さんの姿がある。