広報ふじさわ2026年7月10日号
米価格の大きな変動や農業用機械・資材の高騰、後継者不足などにより藤沢市内の水田は年々減少しています。実は私たちの生活とも密接に結び付く水田の役割や、水田保全の取り組みをご紹介します。
水田の役割は食料生産だけではありません。生物多様性や景観の保全、洪水防止といった後世に残していくべきさまざまな役割を担っています。
●生物多様性を支えています
水田には昆虫や小魚、カエルなど多くの生き物がすみ、そこを餌場とする鳥も飛来します。このように豊かな生態系を支えている水田の保全は、生物多様性を守る上でとても重要です。
●洪水の防止にも一役買っています
水田の周りはあぜで囲まれており、一時的に雨水を貯留して時間をかけて下流へ流すダムのような機能があります。そのため大雨による増水時に、河川へ流れる水の量を調整したり、市街地への水の流入を防いだりしてくれます。
6月の台風のときにも
6月2日~3日に台風第6号が本市に接近したときも、水田は洪水防止に力を発揮しました。台風通過直後とそれからしばらく時間が経過した水田の様子を比較すると、台風通過直後には橋の奥に続くあぜ道が水没しているのが分かります。



●美しい景観をつくっています
農業が継続的に営まれることにより、水を張り青空を映す夏や黄金色の稲穂が揺れる秋など、四季折々の美しい景観を楽しませてくれます。
また、収穫を祝う祭りなど地域文化の伝承とも密接に結び付いています。
市では、市内保育園の園児を対象に、バケツ稲(バケツで苗から米を育てる手法)や生産者との交流など農業を身近に感じる体験を実施しています。バケツ稲で育てた米は給食で提供され、稲わらは正月飾りを作る材料として活用されます。
体験を通して食べ物を大切にする意識や関心が生まれ、残食が少なくなるなどの効果が報告されています。

本市では神奈川県の奨励品種である「はるみ」を中心に生産されています。はるみは水分を多く含み、冷めても硬くなりにくいため、おにぎりや弁当などにしてもおいしく食べられるのが特徴です。名前の由来は「湘南の晴れた海」で、響きが良く親しみやすいのがポイントです。過去には2年連続で特Aランクに選ばれた実績を持ちます。
また、温暖化に負けない米作りとして、水の管理や適期収穫などの技術を高めるほか、高温耐性品種「にじのきらめき」を導入するなど、生産者は日々さまざまな取り組みをしています。
おいしい藤沢産のホームページでは、はるみなど藤沢産の米の販売場所やレシピを紹介しています。

藤沢の米を日本酒に加工し付加価値を高め、持続可能な農業を実現する地産地消の取り組みとして、2022年に市内で酒米生産が始まりました。市内の酒米生産者7名からなる「さがみ農協藤沢市稲作部会 酒米研究会」の石塚義章さんに同会の取り組みについてお話しを伺いました。
取り組みの中でうれしかったことは?
初めて自分たちの作った酒米で醸した日本酒が出来上がり、仲間と飲んだときはうれしかったです。昨年にはJAさがみわいわい市で即売会を開催し、消費者に「自分が作ったお米で醸したお酒なんです」と直接伝えることができ、印象深い出来事でした。
取り組みの中で苦労したことは?
研究会がスタートした当初の人集めです。農家は何年も培ってきた経験や知識を頼りに米作りをしているので、新たなチャレンジはしづらかったのかもしれません。それでも地道に取り組みを続けているうちに仲間が増えました。酒米の生産者同士でお互いの水田を見て回ることがあり、より良いお米を作ろうという刺激になります。
取り組みの中で生まれた日本酒「藤田熊醸(ふじたくまじょう)」はどんなお酒ですか?
藤田熊醸はキレのある淡麗な味わいで、いろんな料理に合わせやすい点が魅力です。お祝いの席で飲んでもらうのはもちろん、カジュアルなシーンでも飲んでもらえたらうれしいですね。日本酒に対するハードルを下げるような存在になってほしいと思っていて、ぜひ若い人にも飲んでみてほしいです。
研究会のこれからの展望は?
さらに藤田熊醸を広めていくためにも、品質の良い酒米を作っていきたいと思っています。自分たちが楽しく農業を行っていく中で、面白そうだから自分も携わってみたいという人が出てきてくれたらうれしいですね。大規模産地と比べて藤沢には大きな水田があるわけではありませんが、地域の存続も考えて引き続き地元で農業を続けていきたいと思っています。

販売店舗
北村商店、藤沢とちぎや、勝浦酒店、へいわ酒店、JAさがみわいわい市藤沢店
※限定品のため、販売数に限りがあります
価格
◎720ml…2200円、◎1800ml…3685円(ともに税込)
名前の由来は…
藤 沢の
田 んぼでとれた酒米で
熊 澤酒造が
醸 した日本酒
だから