やさいの秋葉を訪問
市内用田で野菜の生産に取り組む秋葉 豊(あきば
ゆたか)さんを訪問しました。都市部での 営農を生かした野菜作りやこれからの農業の夢など、いろいろなお話を聞かせていただきました。
(取材日:2020年6月6日)
プロフィール
秋葉さんは1975年、横浜生まれの44歳。約11年前に会社勤めを辞めて綾瀬市で就農、6年前から藤沢に移り、現在、約14,000坪の畑で、都市部の農業の特徴を生かした、さまざまな野菜作りに取り組まれています。
多品目の野菜を生産
都市部の農業は消費者に身近なため、手間を惜しまずバリエーションを豊富にそろえることで、ニーズに合わせた多くの種類の野菜を提供できます。また、消費地に近い利点をいかし、消費者へ旬の野菜を一番おいしい時期に届けることができるとのこと。そのため、生産した 野菜の鮮度と品質を消費者の皆さんに感じてもらえるように、いつも努めているとのことでした。
これからの農業に向けて
都市部の農地は、後継者不足が進み放置されると、荒れ果てていってしまいます。一方で、新規の営農には、農地の確保や資金面、技術の習得など様々な面でハードルが高いため、農業を継続させていくことは容易ではありません。就農してから10年以上で得た知識や経験を活かして、新たに農業に参入を図ろうとする人たちの支援をしていきたいとのお話でした。
インタビュー
ーー現在栽培している野菜を教えてください。
夏はトウモロコシ、エダマメ、冬はキャベツ、ブロッコリーを中心に、年間60品目ほどを栽培しています。
ーー出荷先やクライアントは?
出荷先はJA経由で大手スーパー、地場の直売所、学校給食などです。直売所は市内打戻の井出農園や綾瀬の鈴保養鶏園に出しています。給食は御所見、秋葉台小学校などです。
ーー生産にあたってのこだわりや工夫にはどのようなことがありますか。
お茶、コーヒーの出しガラを発酵させた堆肥をふんだんに使い、化学肥料を1/3に減らしています。植物原料の堆肥は農地に大量投入しても差し支えないので、近くにある大手飲料メーカーから出る廃棄物をリサイクルする会社から提供を受けて、使用しています。
ーー農外から新規参入された時期ときっかけを教えてください。
約11年前、33歳の時に、農業の後継者不足や都市農業の役割についての問題意識からです。もともと農業には興味があったのですが、いざ入ろうとすると排他的で難しいところがありました。最初は綾瀬と海老名で始めたのですが、より広い農地を求めて藤沢に移りました。藤沢市は新規営農者の支援や空き農地の管理などが、充実しているように感じています。
ーー農業に対する思いやこだわりにはどのようなことがありますか。
都市部で営農しているので、商品の鮮度と、食育活動にこだわっています。小学校や保育園で野菜の収穫体験を行ったり、中学、高校、大学での食育講座なども行っています。
ーー農業経営の夢とこれからについて教えてください。
同じような新規の仲間を増やし、農地を守っていきたいと思います。現在、新規営農者4名で出荷組合を作り、キャベツのカット野菜の加工会社への出荷などに取り組んでいます。また、新たに就農する人が休耕地を活用するにはお金や機械が必要になりますが、こちらである程度のリスクを持って支援していくようにしています。
取材を終えて
1か所の野菜畑では、パートの皆さんが肥料や育て方などを、自分たちでいろいろと工夫しながら野菜作りに取り組んでいました。皆さんの明るい笑顔が、とても印象的でした。都市農業のこれからを見据えた秋葉さんの取り組みが、さらに発展していくことをお祈りしています。