藤沢駅周辺まちづくり
課題等について報告
―藤沢都心部再生・公共施設再整備特別委員会―
藤沢都心部再生・公共施設再整備特別委員会は、11月9日に開催され、藤沢都心部再生及び公共施設の再整備について審査した。
この日の委員会では、藤沢駅周辺まちづくりの課題と今後の推進方策について及び新たな公共の視点による「市庁舎・市民会館エリア再構築」に当たっての行政施設再整備事業手法等のあり方に関する提言書について審査を行った。
〇藤沢駅周辺まちづくりの課題と今後の推進方策について
〈市の説明〉
藤沢駅の北口、南口を中心とする周辺一帯の市街地は、さまざまな都市機能が集積し、本市の都心部を形成している。それらは、専ら昭和30年代から50年代にかけての経済の高度成長期に本市が実施した都市改造土地区画整理事業や市街地再開発事業といった、駅前地区を形成するための都市基盤整備事業に呼応した民間ベースでの商業・業務系等の建築活動のたまものであり、以来今日まで藤沢市の顔としてはもとより、湘南地域の顔としてもその機能を果たしてきた。
しかし、整備後30年余りを経て、当時構築した工作物等、公共施設の老朽化が進んでおり、建築物も公共、民間を問わず同様である。また、改定された耐震基準との兼ね合いから、建てかえ、改修が必要なものも生じてきている。
藤沢駅周辺地区の課題としては、駅南北における連携や交流の促進、商業の活性化、駅中でふくそうしている歩行者動線の解消、駅周辺の回遊性の見直し、老朽化した民間の建物の建てかえ、ペデストリアンデッキの耐震化やバリアフリー化、市庁舎、市民会館等の公共施設の再編整備、湘南らしさや藤沢の伝統、文化が感じられる景観形成など、南北を一体としてとらえる都市づくりに向けての課題が多岐にわたっている。
このような課題認識の中、アメリカ発の世界同時不況や消費者の購買意識、行動の変化といった社会経済情勢の急激な変化も加わり、その影響は商業・業務施設が多数集積する藤沢駅周辺地区においてとりわけ顕著となってきている。
本市としても、藤沢駅周辺地区を取り巻く急激な情勢変化を踏まえる中で、駅南北のまちづくり諸課題への迅速な対応という観点から、平成21年9月1日より計画建築部内に「藤沢駅周辺まちづくり推進担当」を新たに設けたところである。
その皮切りとして、藤沢駅北口駅前地区整備事業区域内にある雑賀屋不動産株式会社所有地が会社解散、特別清算手続の中で第三者に処分される見通しとなり、整備事業のシンボル的存在としての複合商業施設立地計画が先行き不透明となっていることを踏まえ、清算人及び代理人弁護士、主たる債権者と接触の上、計画及び本市の考えを説明する一方、売却先においてもにぎわいゾーンとしての土地利用を誘導願う旨を要請中であり、引き続き調整に当たっている。
こうした課題を踏まえるとともに、より広域的な視点や今後の社会経済情勢の趨勢予測を反映させ、藤沢駅の周辺まちづくりはいかにあるべきかを追求すべく、22年度より藤沢駅周辺地区再整備構想の検討を企画している。
そのため、学識者や関係行政、関係団体等で構成する(仮称)藤沢駅周辺地区再整備構想検討委員会を組織し、検討を進めていきたいと考えている。

老朽化が進み、建てかえが望まれる市役所本館
〇新たな公共の視点による「市庁舎・市民会館エリア再構築」に当たっての行政施設再整備事業手法等のあり方に関する提言書について
〈市の説明〉
この提言書は、21年10月29日に藤沢市NPM改革推進懇話会から提出されたものである。
藤沢を取り巻く諸課題と視点として、本市の保有する老朽化した公共施設の現状と、その解消に当たっての考え方などを4つに区分している。
1公共施設の老朽化に伴う更新・再整備事業コストへの対応
本市が保有する公共施設78.4万平方メートルのうち、一般的に建築物の寿命とされる築30年以上のものが全体の52.3%に当たる約41万平方メートルと、老朽化した建築物が既に全体の過半を占めている現状と、これらを再整備するに当たり約1435億円ものコストを要することから、施設のスリム化と有効活用を図る必要があるとしている。
2地域内分権、広域連携による新たな公共サービスの構築
地方分権化の潮流の中で、基礎自治体は、地域内分権による地域経営力を持つ地域社会の自立と、市域を越える行政需要に対して自治体間連携による広域経営力の強化の取り組みが不可欠となることから、新たな公共サービスのあり方と、そのサービスを提供する市庁舎機能の規模や配置のあり方が問われるとしている。
3藤沢都心部の活性化に資する公共施設再編
整備以来約30年近く経過して、さまざまな課題が顕在化している藤沢都心部に位置する市の公共施設の再構築に当たっては、都心部の空洞化や土地利用転換、駅機能、交通アクセスなどの状況に対して都心部の活性化に資するように業務、商業、教育、文化など、さまざまな施設を複合的に配置するなど、市が保有する公共資産を有効活用する可能性の検討と、土地建物を自己所有せず民間再開発等による民間施設の床を賃借するなど地域活性化の視点に立って、事業手法の検討も必要となるとしている。
4市の財政負担を軽減するための新たな公民連携の検討
事業手法と整備パターンの検討に公民連携による公共資産の有効活用と規制誘導型の視点に立って民間資金とノウハウ、事業手法を積極的に導入することにより、市の財政負担の軽減化と平準化を図り単年度だけでなく長期的視点で検討することが必要であるとしている。
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