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2019年1月10日号 広報ふじさわ…市政情報    〔 2 / 2 page 〕

浮世絵から読む亥年(いどし)と湘南

 イノシシは古来から親しまれている動物で、数々の浮世絵にも描かれています。市収蔵作品の中から、イノシシや亥年にまつわる浮世絵を紹介します。

問い合わせ 藤澤浮世絵館【電話】(33)0111、【FAX】(30)1817

または 郷土歴史課【電話】内線6731、【FAX】(50)8432



弁財天居開帳で亥年の江の島は大賑わい

歌川広重「相州江之嶋弁才天開帳参詣群集之図」

 1面で紹介した絵は、市民会館大ホールの緞帳(どんちょう)の絵柄としても親しまれている歌川広重の浮世絵「相州江之嶋弁才天開帳参詣群集之図」です。

 江戸時代には、亥年と巳(み)年に江の島島内で弁財天の公開を行う居開帳を行っていました。6年に一度ということもあって、江戸や近隣からも多くの参詣者が集まりました。同絵は、1851年の亥年の居開帳に合わせて発売されたものです。

 日傘を差した女性たちは長唄や常磐津など音曲(歌や踊り、楽器演奏などの芸能の総称)をなりわいとする講中の人々です。琵琶を持った江の島の弁財天が音曲の神として親しまれたことが、江の島に女性の来訪者が多かった一因のようです。傘の模様で講中がはっきりと描き分けられているのは、販売者側が3枚続きの浮世絵を1枚ずつ売ることを意図したためでしょう。

歌舞伎でも描かれるイノシシ退治の名場面

歌川国貞「十二支所作 亥 七ツ目合 仁田四郎 坂東三津五郎」「巳 江の島座頭」

 江戸時代の歌舞伎役者、3代目坂東三津五郎の当たり芸、十二支所作事(十二支にゆかりの人物を演じる歌舞伎舞踊)の内の亥年、仁田四郎を描いた作品です。

 描かれているのは、富士の巻狩りで暴れる大イノシシを仕留めたとされる「仁田四郎のイノシシ退治」です。この巻狩りは鎌倉将軍源頼朝によるもので、日本三大あだ討ちの一つ、曽我兄弟のあだ討ちの舞台となっています。仁田四郎はこの時の勇猛を買われ、後に2代将軍源頼家の命で富士の人穴と呼ばれる溶岩トンネルに入り、人穴が江の島に通じているという伝説を生んでいます。

 曽我兄弟のあだ討ちから派生した歌舞伎「寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)」は、父を工藤祐経に討たれた曽我兄弟が正月に敵の工藤と対面します。その際、工藤は巻狩りの総奉行職を務めた後で兄弟に討たれることを約束し、年玉代わりに狩場の通行手形を渡すという内容です。江戸歌舞伎では、毎年正月に曽我兄弟の登場する作品を上演する慣習があり、現在でも上演されることの多い演目です。仁田が抱える松の木は、正月に門松に用いた「根曳きの松(正月最初の子(ね)の日に、根ごと引き抜いた松)」を示していて、新春を祝うおめでたい絵柄となっています。

 「七ツ目合(ななつめあい)」とは、ある干支とその七つ目の干支の組み合わせを縁起の良いものとする俗習で、右上に「巳(年)江の島座頭」として琵琶法師の絵が添えられています。「江の島座頭」も三津五郎の十二支所作事の一つで、巳(へび)が江の島弁財天の守護神であり、琵琶を持つ弁財天が視覚障がいのある方の守護神ということで、ゆかりの人物として描かれています。

藤澤浮世絵館からのお知らせ

「片瀬・龍口寺山上から見た江の島」の絵はがきが登場

 藤澤浮世絵館では、浮世絵の絵はがきを販売しています。

 1月から登場した絵柄は、歌川広重「東海道之内江之嶋路片瀬 自七面山見浜辺」で、七面山(片瀬・龍口寺裏山)という具体的なビューポイントが確認でき、片瀬の家並みと江の島がセットで描かれています。

 実際に江の島を訪れている広重ならではの珍しい作品です。



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