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2020.07.11-2020.09.27
終了しました

企画展Ⅰ 修復作品公開 長谷川路可 よみがえる若き日の姿 | HASEGAWA LOKA: Restored artworks from his youth 長谷川 路可

旧国立競技場のメインスタンド上部に、一対の大きなモザイク壁画《勝利》(野見宿禰像)と《栄光》(ギリシャの女神像)があったのをご存知でしょうか。これは1964(昭和39)年、東京オリンピックの主会場に、画家長谷川路可(1897-1967)が教え子たちと制作したものです。それぞれ、相撲の神様とギリシャの女神を象ったもので、東洋と西洋の古代の神が並び立つ様は、アジア初のオリンピック開催を祝福するにふさわしいものでした。本作は、旧国立競技場の解体にあたって保存がなされ、現在は新しい国立競技場に移されています。

路可はその生涯において実に様々なジャンルの作品を描きました。1921(大正10)年、東京美術学校(現東京藝術大学)の日本画科を卒業し、すぐにフランスに渡ります。そして油彩画をサロンに出品するかたわら、欧州の博物館に保管されていた西域発掘の古い仏教壁画の模写に従事。その経験から壁画への関心を深め、フレスコ画の技法も身につけて1927(昭和2)年に帰国しました。以後10年間は藤沢市の鵠沼にアトリエを構え、日本画を追求するほか、教会や劇場などの壁画を制作。日本に本格的にフレスコやモザイクを伝えたパイオニアとして評価されています。

若き日に日本画、西域壁画、油彩画、フレスコ画に触れ、洋の東西をまたいで古から今日までの技能を磨いたことは、その後の路可の画業に豊かな広がりを生みました。よって本展では、多彩な路可の制作活動の中でも滞欧時代(1921-27年)に焦点を当て、市所蔵作品を中心に彼の足跡をたどります。

さて、路可の作品は制作から100年近くが経過し、画面に傷みが生じていました。そこで今回、市では《自画像》を含む6点を修復し、その工程とともにお披露目します。作品を守り後世に伝えていくという点では、冒頭に述べた旧国立競技場のモザイク壁画の移設も同じです。美術作品の保存と継承の裏には、多くの手が差し伸べられていることを知っていただければ幸いです。

Hasegawa Loka (1897-1967), an artist who lived in Fujisawa, is regarded as a pioneering figure responsible for formally introducing Fresco and Mosaic techniques to Japan. In 1964, he made a pair of large Mosaic murals at the former National Stadium, which was the main venue for Tokyo Olympics. The murals have been relocated and are now available for viewing at The Japan National Stadium. After studying Japanese painting, he then moved onto Europe (1921-27). While exhibiting his oil paintings at the salons, Loka also worked on copying the Buddhist murals of Central Asia, exploring various kinds of painting techniques – East and West, old and new. This exhibition mainly introduces the Fujisawa city collection of artworks from his youth, along with their restoration process.

 


会期

2020年7月11日(土)〜2020年9月27日(日)

休館日

月曜日 ※ただし8 月10 日、9 月21 日は開館、8 月11 日(火)は休館

開館時間

10:00-19:00(入場は18:30 まで)

観覧料

無料

会場

藤沢市アートスペース 展示ルーム

主催

藤沢市、藤沢市教育委員会

後援

神奈川新聞社、株式会社ジェイコム湘南・神奈川、レディオ湘南

協力

長谷川路可記念会、独立行政法人日本スポーツ振興センター、株式会社丹青社、公益財団法人藤沢市みらい創造財団、一般財団法人藤沢市開発経営公社



学芸員による作品解説



長谷川路可の知られざる若き日の姿を紹介!

模写中の路可

1921-1927年のヨーロッパ留学期間の足取りから、エコール・ド・パリの寵児 藤田嗣治との関係や、岡倉覚三(天心)『茶の本』の挿絵のしごと、博物館での模写の苦労話など、知られざる路可の姿をご覧いただけます。


長谷川路可の市所蔵作品6点を修復後初公開!

展覧会に先立って修復した路可の日本画、油彩画、フレスコ画を公開。

作品を後世に伝えるための修復の意義と工程をお伝えします。

《家族》1923 年頃 藤沢市蔵

《家族》カンバス 油彩 1923 年頃 藤沢市蔵(左:修復前・右:修復後)


国立競技場のモザイク作品 保存の舞台裏!

1964年の東京オリンピックが開催された時代を反映するレガシーとして、旧国立競技場から新しい国立競技場に移設された一対のモザイク壁画 《勝利》(野見宿禰像)と《栄光》(ギリシャの女神像)。

巨大な壁画を分割して切り出し、新たな場所に設置するまでの工程を紹介します。

モザイクを制作する路可 写真提供:鵠沼郷土資料展示室

モザイクを制作する路可 写真提供:鵠沼郷土資料展示室


関連イベント

特別企画終了しました

電磁波(テラヘルツ波)によるフレスコ作品の公開調査

2020年 12月05日(土)10:00-17:00
2020年 12月06日(日)10:00-17:00
2020年 12月08日(火)10:00-17:00
2020年 12月09日(水)10:00-17:00
2020年 12月10日(木)10:00-17:00
2020年 12月11日(金)10:00-17:00
2020年 12月12日(土)10:00-17:00

※12:00-14:00は休止

期間中、赤外線撮影などの写真調査も行います。
テラヘルツ波の装置が確実に作動しているのは、12月9日(水)、10日(木)の2日間となります。


藤沢市所蔵の長谷川路可作品の調査の様子を一般公開します。

長谷川路可《イタリアの想い出》フレスコ、127×107.5cm、1958年(藤沢市蔵)

《イタリアの想い出》は、イタリアでフレスコ画を学び、日本に本格的に紹介したパイオニアとされる長谷川路可(はせがわ・ろか)(1897-1967)が描いた作品です。

フレスコ画とは、砂と消石灰を混ぜた漆喰を壁に塗り、それが乾ききらないうちに、水で溶いた顔料で描画する方法です。その歴史は紀元前6世紀に遡り、ルネサンス時代に隆盛。フラ・アンジェリコやミケランジェロらによって多くの教会建築の壁面が彩られました。

路可は、壁面と一体であるフレスコ画を壁から剥がし、カンバスに移し替えることで、今の私たちが家庭の中でも楽しむことができるよう「ストラッポ」という技法も習得します。そして、イタリアから帰国した翌年、まずフレスコで描き、その後ストラッポを施したのが《イタリアの想い出》であり、日本における早い時期のストラッポの例として貴重な作品です。

ただ、本作は絵具が剥がれてしまっている箇所が多数あり、将来的に修復が必要になると考えられます。今後の修復計画を立てるにあたって指針となるのが、今回の電磁波(テラヘルツ波)による科学調査です。すでに国内外で同様の調査の実績のある国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の協力を得て、実施の運びとなりました。


電磁波(テラヘルツ波)を用いた科学調査のメリット

❶ 従来の科学調査では難しかった作品の内部(支持体や下地層)が観察できる
❷ 作品にダメージを与えず、安全に調査ができる
❸ 将来、作品の修復をする際、修復方法を検討する材料となる

これまで、電磁波(テラヘルツ波)を用いた美術作品の科学調査は、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が世界に先駆けて文化財に応用し、レオナルド・ダ・ヴィンチ作《最後の晩餐》や、キトラ古墳、高松塚古墳、狩野永徳作《檜図屏風》など、貴重な絵画の修復前調査に役立てられてきました。ストラッポ したフレスコ画を電磁波(テラヘルツ波)で調査するのは、今回が世界初の試みとなります。


科学調査担当:福永 香氏
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)電磁波研究所勤務。株式会社フジクラ勤務を経て1994年に郵政省通信総合研究所(現NICT)入所。電波を用いた非破壊検査の研究に従事。博士(工学)、学士(造形)。藤沢市鵠沼出身。

 

調査報告のページはこちら

会場:藤沢市アートスペース ワークショップルーム
定員:12名

※予約不要、出入り自由 
※定員を超える際はお待ちいただく場合があります


トークイベント終了しました

学芸員によるギャラリートーク-開催中止-

当イベントは新型コロナウィルス感染拡大防止のため中止となりました。

担当学芸員が、作品の解説や、今回行われた修復についてお話しします。

申込:不要(無料)

開催時刻に展示ルーム前にお集まりください。


ワークショップ終了しました

フレスコ画に挑戦!-開催中止-

当イベントは新型コロナウィルス感染拡大防止のため中止となりました。

フレスコ画とは、下地の漆喰が乾かないうちに水で溶いた顔料で描く古典技法です。

ハガキ大のサイズの絵を仕上げます。

講師:肥沼守(フレスコ画家)
対象:小学3年生以上おとなまで
定員:10人 ※要申込
参加費:1,000円(材料費)


ワークショップ終了しました

レクチャー&デモンストレーション -開催中止-

 当イベントは新型コロナウイルス感染症拡大防止のため中止となりました。

今回長谷川路可の作品修復にあたった絵画修復エデュケーション・センターによる、修復の考え方や作業内容を紹介するレクチャーと、一般の方に修復作業の一部を体験いただけるデモンストレーションを行います。


〈お問い合わせ〉

藤沢市アートスペース
(藤沢市生涯学習部文化芸術課)
〒251-0041神奈川県藤沢市辻堂神台2-2-2
ココテラス湘南6階
TEL 0466-30-1816
FAX 0466-30-1817
E-mail fj-art@city.fujisawa.lg.jp

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