廣川玉枝は、2006年にブランド「SOMARTA」を立ち上げて以降、時代を超えて長く生き続ける普遍の美を探求するものづくりを目指し、「身体における衣服の可能性」をコンセプトに無縫製ニット「スキン シリーズ」の研究開発に取り組んできました。
廣川は、人類すべてが生まれた時から纏っている皮膚を「第一の皮膚」と捉え、「第一の皮膚」そのものの存在に近い「第二の皮膚」を目指した衣服として「スキン シリーズ」をデザインしました。「スキン シリーズ」は無縫製ニットの技術を用いてつくられた機能性と美しさを兼ね備えたプロダクトであり、国や人種、性別や体型など全てを超越した人類共通の「世界服」になると廣川は考えたのです。「スキン シリーズ」は、皮膚のように伸縮し、身体の伸びやかな動きを妨げない為、レディ・ガガをはじめとする国際的に活躍するアーティストやコンテンポラリーダンサーなど身体の動きで魅せるパフォーマーの衣装として愛されています。また、アシックスと協業しTOKYO2020オリンピック・パラリンピックのスポーツウェアのデザインを手がけたことでも話題となりました。廣川の「皮膚」をデザインする活動は衣服だけにとどまらず、椅子、自動車、空間、地域を巻き込んだ祭へと大きな発展を遂げてきました。
本展では、廣川の「皮膚のデザイン」の思考を紐解きます。「スキン シリーズ」の展示を中心に、あらゆるものを身体に見立てボーダレスなデザイン活動を行う廣川の創造の軌跡を、出身地である藤沢の地においてぜひご覧ください。