
制作·展示支援プログラム「Artists in FAS 2026」
8月24日に、Artists in FAS 2026の入選アーティストを選出する審査会を行いました。
審査員の開発好明氏と神谷幸江氏が滞在制作および作品プランが記入された応募書類等に目を通し、それぞれ十数名程の候補者を選出しました。その候補者の中から審査員が協議し、3名の入選者が決定しました。
◼︎入選(敬称略、50音順)
遠藤 和希子(えんどう・わきこ)埼玉県在住
古川原 壮志(こがはら・たけし)東京都在住
三本木 歓(さんぼんぎ・かん)東京都在住
◼︎応募件数
53件 [神奈川県内24件(うち藤沢市8件)、神奈川県外29件]
◼︎審査の様子
「Artists in FAS」とは
「Artists in FAS」(以下、AiF)は、藤沢市アートスペース(以下、FAS)が実施するアーティスト・イン・レジデンス・プログラムです。本プログラムは2016年にスタートし、今年で11回目を迎えます。
FASで制作する作品と展示についてのプランを広く募集し、外部審査員による審査のもと、選出されたアーティストには作品制作と展示のための環境を提供します。アーティストとしてこれまでに追求してきた表現や培ってきた経験を、FASでの滞在制作を通してカタチにしてみませんか。絵画、立体、インスタレーション、パフォーマンス等、表現ジャンルは問いません。
「AiF」は、アーティストの意欲的な創作活動をサポートするとともに、発表の場を提供し、今を生きるアーティストとその作品の魅力を発信します。
募集チラシ
審査員

開発好明氏[アーティスト]
1966年山梨県出身、在住。1993年多摩美術大学大学院美術研究科修士課程修了。
観客参加型の美術作品を中心に、2004年にヴェネチア・ビエンナーレ第9回国際建築展、2006年に妻有トリエンナーレ「越後妻有大地の芸術祭2006」に出品。2016年に市原湖畔美術館(千葉)にて「中2病展」を開催。2024年東京都現代美術館(東京)にて「開発好明 ART IS LIVE―ひとり民主主義へようこそ」展を開催。2025年令和6年度(第75回)芸術選奨 文部科学大臣賞。
また国外では、ベルリンのニューナショナルギャラリーにて「Berlin-Tokyo/Tokyo-Berlin」などに参加し国内外で発表を行っている。2011年以降デイリリーアートサーカスを企画し震災によって被害を受けた学校や仮設住宅に訪問して展示やワークショップを行った。
今回の選考では、名前や経歴、年齢を一切排し、純粋に作品のアイデアと内容のみを軸に審査を行いました。
すべての評価を終えた後に初めて経歴を確認しましたが、本プログラムは地域や年齢の制限がない極めて開かれた性質を持っており、結果として20代前半から70代まで実に幅広い層からの応募が集まりました。初年度に続き、今回10年ぶりに選考委員として参加しましたが、前回と比べて「地域性」に対して深く思考を巡らせる作家が増えている点に強い印象を受けました。
今回採択した3名のアーティストについて、それぞれの表現に対するアプローチに注目しました。
武蔵野美術大学建築学科を卒業した遠藤和希子は、キャンバスを単なる平面として捉えず、木枠の淵の部分にまでストーリーを拡張している点が秀逸です。さらに、現実を超越した独自の肌色を採用しており、ジェンダー問題にも踏み込んだ平面に広い視野と確かな建築的アセスメントを感じさせました。
アートセンター・カレッジ・オブ・デザインの映画学部を卒業した古川原壮志は、映像という書類審査では伝達が難しい表現であるにもかかわらず、提出されたスチール写真そのものの強烈な魅力に惹きつけられました。実際にリンク先の映像作品を鑑賞すると、画面の支持体や映像の構造を鋭く捉えようとする、作者の緻密で入念な意図が明確に感じ取れました。
東京大学大学院工学系研究科建築学専攻の三本木歓は、藤沢市の鎌倉時代に砂丘が広がっていた場所に弓の練習場があったという歴史的史実をベースに、現地でのフィールドワークを経て作品を構築する姿勢に強い面白みを感じました。また、過去の作品からはこうした堅苦しい学歴とは異なり軽やかなユーモアが漂っており、その多面的な魅力に惹かれました。
年齢やバックグラウンドが異なる多様な表現者が、それぞれの視座から土地や空間と向き合う姿に触れ、本プログラムが持つ意義の大きさを改めて実感する選考となりました。
今回の三者三様の作家たちが同じアトリエで制作することによって応募した作品以上の化学変化が起こることを期待しています。

神谷幸江氏[国立新美術館 学芸課長]
ジャパン・ソサエティー(ニューヨーク)、広島市現代美術館、ニューミュージアム(ニューヨーク)にてディレクター、キュレーターを歴任。2025年より現職。第12回上海ビエンナーレ(2018-2019)共同キュレーターを務めた他、国内外で日本・アジアと地域、異分野を横断する展覧会を手がける。現在National Museum of Women in the Arts(ワシントンDC)でのWomen to Watch 2027展コンサルティング・キュレーターを担う。
これまで手がけた展覧会は「時代のプリズム:日本で生まれた美術表現1989-2010」(国立新美術館、2025)、「荒野のラジカリズム:グローバル1960年代の日本の現代美術作家たち」(ジャパン・ソサエティー、2019)、「ふぞろいなハーモニー:アジアという想像力についての批評的考察」(アジア4都市巡回、2015‒18)など。西洋美術振興財団学術賞を受賞(2011)、AICA(美術評論家連盟)会員。
Artists in FAS 2026に寄せて
自身のいつもの拠点を離れて、3ヶ月の間制作場所を藤沢市アートスペースに置く。さらにその制作の成果を発表することのできる機会。それは「場」と、そこに関わる「人」と、自らの創作のモチベーションとなる関心それぞれを編み込みながら作品を作り上げていくプロセスそのものになる。
応募はこれから始める新しい作品創作とチャレンジを、想像して描き出す青写真として、様々なメディアを使う、幅広いジェネレーション、異なるキャリアパスを持つアーティストから、いずれも力のこもったプランが寄せられた。藤沢という土地にどんな創作のインスピレーションを受け、一時的なレジデントとして地域との協働を望み、コミュニティーに対し何を伝え、具体的な制作方法の細部にまで想像を及ばしつつ、思いがけない事態をポジティブに、フレキシブルに受け止めることができるか。
審査では、確立した自身の核となる表現を築いていること、その表現手法をもとにしながら、F A Sでのレジデンスの機会をアーティストとしての経験値、作品の強度を次の段階に進める挑戦としているか、を2つの軸として拝見させていただいた。
古川原壮志さんは静謐な映像による映画を制作し、国内外で制作と上映の機会を持ってきた。藤沢での直接的体験を、映画をインスタレーションへ往還する実践への試みとなることを考えている。
三本木歓さんは建築学を学んだ背景を持ち、場所や都市空間を再解釈する視点を携える。今回はFASの近辺がかつて砂丘であったことをリサーチテーマに挙げ、過去と現在を風景から探求するという。
遠藤和希子さんは身体と風景を重ねる主題の平面作品と、手に取り食すことのできるクッキーという平面物を加え、作品と人との関わり、鑑賞体験をより複層的にすることを試みるという。
いずれの挑戦もF A Sだからこそ可能な、作る側、招く側、観る側いずれにとっても無二の機会となることを期待したい。
<審査>
審査員が書類選考によりすべてのプランに目を通し、以下の項目に基づき協議して入選 3名(組)を決定。
※審査内容についてのお問い合わせには応じられませんのでご了承ください
<募集期間>
2026年7月1日[水]~2026年8月11日[火・祝]
終了しました。
<応募締切>
2026年8月11日[火・祝]17:00必着
終了しました。
<入選>
3名(組)
入選者(組)には、滞在および制作補助として50万円を支給します。
※支給方法:事業終了後に本人名義の口座へ振込みとなります。
<滞在制作期間>
2026年10月4日(日)〜12月27日(日)
※上記期間中、30日以上(1日6時間程度/9:00〜19:00の間)FASで滞在制作をすること
※別途、展示設営期間あり
<展覧会>
2027年1月9日(土)〜2027年3月14日(日)
※入選者によるグループ展です。
※休館日:月曜日(月曜日が祝日の場合は翌火曜日が休館)
※開館日や閉館時間は変更になる場合があります。
<応募方法>
◉募集期間内にEmail、郵送(宅配便等も可)、FASへ直接持込のいずれかの方法で、「藤沢市アートスペース〈Artists in FAS 2026〉申込用紙」を提出してください。
Email 8月11日 [火・祝]17時まで ※締め切り間際は回線が混み合うことが予想されますので早めの応募をお勧めします
郵送 8月11日 [火・祝]必着
直接持込 8月11日 [火・祝] 17時まで(開館日の10〜17時で受付)
※データや書類の不備等がある場合は審査できません。再提出する場合、締め切り日時以降の受付はしませんのでご注意ください。
◉応募の際は、以下要項を必ずご確認ください
AiF2026募集要項(PDF)
<申込書類>
こちらからダウンロードできます。 ※FASでも配布しています。
※PDF、docxはどちらか使いやすい方をお使いください。
・応募は一人(組)一件とします。
・申込用紙のフォーマット(A4サイズ10ページ)を使用してください(縦横不問)。
・映像の場合、5分以内に編集したものをYouTubeなどの動画サイトにアップロードし、動画のタイトルと閲覧可能なURLを申込用紙に明記して下さい。アップロードの際、動画タイトルには必ず応募者名またはグループ名を入れ(例:《FUJISAWAYOSHIKO_私の休日》)、プライバシー(公開)設定は「限定公開」としてください。
・DVDやCD等記録メディアでの画像や映像の提出は受け付けません。
[応募に関する注意事項]
・Emailで提出する場合、申込用紙(ポートフォリオ含む)は7MB以内にまとめ、PDF形式で保存してメールに添付してください。また、ファイル名には必ず応募者名またはグループ名を入れてください。
(例:〈FUJISAWAYOSHIKO_AiF2026申込用紙〉)
・申込用紙は返却しません。
〈参考図面・画像〉
〈応募書類提出先〉
[Email]fj-art2@city.fujisawa.lg.jp ※件名は「Artists in FAS 2026 応募//氏名」としてください
[郵送・持込]〒251-0041 神奈川県藤沢市辻堂神台2-2-2 ココテラス湘南6F
藤沢市アートスペース「Artists in FAS 2026」係
〈応募に関する問合せ先〉
[TEL]0466-30-1816
[Email]fj-art2@city.fujisawa.lg.jp
※件名は「Artists in FAS 2026問合せ」としてください
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