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更新日:2025年2月7日
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災害時の食の備え
地震や台風をはじめ、災害が発生した際、物流機能やライフラインの停止により、食品が手に入らないことが想定されます。支援物資が届くまでに3日~1週間かかると言われています。その間を乗り切るためにふだんから食品を備蓄しておくことが大切です。また、過去の災害から支援物資が届き始めたころの食事は、まずはエネルギー確保のため炭水化物中心になり、ビタミンやミネラル、食物繊維、たんぱく質が不足する傾向がみられます。栄養素の不足が長期化することにより筋肉量、免疫機能の低下や便秘などが生じやすくなります。栄養の偏りを防ぐために「主食・主菜・副菜」を意識することも重要です。
家庭備蓄のすすめ
食品の家庭備蓄を非日常のものと考えるのではなく、日常の一部としてふだんから無理なく災害時の食の備えをしておくと、いざという時も自分や家族を守り、心のゆとりをもつことができます。家庭における備蓄の量は、最低でも3日分~1週間分(食に配慮が必要な人は2週間分)×人数分が望ましいといわれています。1人1日およそ3Lの水、調理しないでそのまま食べることのできる食品を確保します。
非常用に特別に作られた非常食のほか、日ごろから使用している常温保存可能な食品を買い置きし、ローリングストック法を実践することで備蓄食品とすることができます。
避難生活が長期化した場合に備えて、栄養の偏りを防ぐために「主食・主菜・副菜」を意識することも重要です。下の例を参考に、主食+主菜+副菜を意識してバランスの良い備蓄食品をそろえましょう。災害の際は、ガス・電気が一定期間利用できなくなることがあります。そのまま食べられる食品や、水を注ぐだけで完成する食品はとても役立ちますが、被災後は「あたたかいもの」を食べたいと感じる人が多いようです。そんな時に活躍してくれるのがカセットコンロ!ガス・電気が使えない場合にもごはんやスープなどの加熱・調理をすることができます。あたたかい食事は体もあたたまり、緊張感や不安を和らげてくれます。その他、使い捨て容器や食品用ポリ袋、ラップなどの家庭用品を備えておくと役立ちます。
出典:家庭備蓄ポータル(農林水産省)
↑こちらをクリックすると必要数をシュミレーションできます。
災害時に備えた食品ストックガイド(農林水産省)(外部サイトへリンク)
ローリングストック法とは
過去の災害で、「用意していた備蓄食品の期限が切れていた」「パッケージにほこりや傷がつき、衛生的でなかった」「パサパサしていて、おいしくなかった」などのトラブルがあったそうです。せっかく家庭備蓄をしていても、いざというときに使えないのでは意味がありません。そんな教訓を踏まえて生まれた方法が「ローリングストック法」です。
ローリングストック法は一定期間保存が可能な食品以外にも、例えば月に1食分以上消費する等、循環のサイクルを短くすることで、期限が短いものも備蓄食品として取り入れることができます。ふだん食べている食品を備蓄食品として家庭備蓄することができ、災害時に口に合わなかったり、作り方が分からないなど戸惑うことも少なくなります。また期限内に食べきることが容易になり、食品ロスを防くことにもつながります。
✅まずは、ふだん食べている食品を多めに買って、備える
✅ふだんの食事で食べる
✅食べたら買い足して、補充する
この方法は、長期保存が可能な食品(非常食)缶入りパンや調理不要なレトルトかゆ・雑炊などにも活用でき、キャンプや山登りなどのアウトドアやふだんの食事で非常食を取り入れてみる等して消費し、買い足すことでいざ使用する際に「パッケージにほこりや傷がつき、衛生的でなかった」ということを防ぐことができます。家庭備蓄の例を参考に、自分にあった食品を無理なく備えてみませんか
詳しくは 食品ロスにしない備蓄のすすめ【ふだん使いでカンタン備蓄(外部サイトへリンク)】(消費者庁)(外部サイトへリンク)
食事に配慮が必要な方の家庭備蓄
乳幼児や高齢者(食べる機能が弱い方)、疾患のある方、食物アレルギーがある方などがご家庭にいる場合は、その人に会った食品を3日~1週間分ではなく、災害時は、流通が再開されても食品が入手困難な可能性が高いため2週間分を日ごろから用意しておくと安心です。
【乳幼児がいる場合】
✅粉ミルク
環境が変わり体調が変化することで母乳が出にくくなることがあります。粉ミルクと一緒にほ乳瓶やガーゼ等を持っていくと便利です。
✅離乳食
支援物資を再加熱して柔らかくして食べられるように、小鍋や熱源も用意しておくことが重要です。備蓄食品は粉末果汁、フリーズドライのベビーフード、レトルトの粥等を用意しましょう。皿やスプーン、ガーゼ等食事が供給できるものを一緒に備えておきましょう。
✅水
脱水症状になりやすいため準備しておきましょう。粉末タイプやフリーズドライの離乳食を作る際に必要になります。多めの飲料水を用意しておく必要があります。
詳しくは災害時に乳幼児を守るための栄養ハンドブック(公益社団法人日本栄養士会)
災害時に乳幼児を守るための「栄養ハンドブック」には、乳児(1歳未満のお子さん)の栄養について、母乳・粉ミルク・液体ミルク、ママへのアドバイスについて掲載しています。乳児がいる場合にはぜひご覧ください。
【高齢者(食事の形状に工夫が必要な方)】
✅水
のどの渇きを感じにくいため、脱水症状になりやすいので水を必ず備蓄しましょう。
✅とろみ調整用食品(とろみ剤)
お茶やみそ汁、スープなどさまざまな液体の食べ物に混ぜることで、とろみをつけることができる粉末状の食品です。
加齢により、飲み物などを飲み込む際にむせることが多くなった方が使うことで、食べ物を飲み込みやすくすることができます。
災害時に避難所で肺炎が流行するのは、誤嚥性肺炎によるものが多いことが分かってきました。誤嚥性肺炎の予防のためにも、とろみ調整用食品を
備えておきましょう。
✅介護食
災害時は食材の硬さや形状が工夫された介護食や離乳食を活用しましょう。
【疾患のある方】
食事療法を受けている人は毎日の食事が大切です。症状を悪化させないように個人に適した食事を準備しておきましょう。※慢性疾患(腎臓病や糖尿病など)をお持ちの方は、かかりつけ医の指示をうけましょう。
【食物アレルギーがある方】
災害時に、アレルギー対応食品を入手するには時間がかることが想定されます。アレルギー対応食品を事前に備蓄しておきましょう。
要配慮者のための災害時に備えた食品ストックガイド(農林水産省)(外部サイトへリンク)
要配慮者の方がいる世帯の家庭備蓄実践事例(農林水産省)(外部サイトへリンク)
知っておきたい災害時の食生活の注意点
避難生活で生じる健康問題を予防するためには、どんなことに注意すればいいかあらかじめ知っておきましょう。また食べることだけでなく、身体を動かすことも大切です。
水分をしっかりとりましょう
避難生活では、飲料水の不足やトイレ数の不足から、水分摂取を控えがちです。 飲料がある場合は、積極的に水分補給をします。 水分不足は脱水、低体温、便秘、エコノミークラス症候群、心筋梗塞、 脳梗塞のような症状がおこりやすくなるので注意が必要です。
しっかり食べましょう
食べ物が限られていることや、慣れない環境などのために食欲が低下しがちです。体温や身体の筋肉を維持するためにも、提供された食事はしっかり食べましょう。高齢者の方は、ゼリー飲料や栄養素を強化した等が届いたら、積極的に食べるようにしてください。
災害時こそお口のケアを
避難所では歯ブラシ自体がなかったり、水が不足することで歯みがきや入れ歯のお手入れが後回しになりがちですが、ケアしていない状態が長引くと、お口のトラブルにつながります。さらに避難所では食事内容が偏りやすく、生活環境が整わないことで免疫力も低下しやすいため、特に高齢者では、誤嚥性肺炎により全身の健康状態が悪化するおそれがあります。もしもの時に備えて、日ごろからお口のケアグッズを準備するとともに、物資が不足する中でも、手に入るもので工夫したお口のケアを心がけましょう。また、唾液には口をきれいに保つための様々な役割があります。よく噛むことやお口の体操「健口体操」を通じて口を動かし、唾液の力を最大限に活用しましょう。
災害時のお口のケアについて(厚生労働省)(外部サイトへリンク)
出典:災害栄養ツール(国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所)を基に作成。
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健康医療部地域保健課
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