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更新日:2025年6月23日
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ジェンダー平等・男女共同参画に関するWeb記事「かがやけ地球」Vol.137(2025年6月発行)
目次 |
ジェンダー平等・男女共同参画の視点で日頃から被災時の備えをしよう
これまでの災害から、性別や立場によって被災時に起こる困難に違いがあることが明らかになっています。
特に女性や支援が必要な人たちに配慮した防災の取組を進めることが重要だと思いますが、いつどこで災害が起こるか分からない中、どのような取組をすれば、被災時の混乱の中で対応ができるのでしょうか。私がかつて阪神淡路大震災直後に兵庫県神戸市を訪れた際には、現場でただただ茫然としてしまい、どのような支援が求められているか分かりませんでした。
今号では、その時に感じたことも踏まえて、ジェンダー平等・男女共同参画の視点から、何ができるのかを考えてみたいと思います。
被災時の課題
令和6年能登半島地震の際、女性には次のような困難がありました。
- 避難所の運営において、女性や多様なニーズが充分に把握されていなかった
・女性の更衣室がなく、着替えるところがなかった
・物資の担当者は男性ばかりだった。男性が見ている中で下着を選ばなければいけなかった - 炊き出しなどの労働は、主に女性が、長時間にわたり、無償で担っていた
・炊き出しを担っていた女性が別の避難所に行ってしまった際は、別の女性が新たに担当することとなり、男性は担当してくれなかった - 震災の影響のみならず家族・親族のケアのために出勤できず失職した女性がみられた
【引用・参考:減災と男女共同参画研修推進センター『令和6年能登半島地震の女性の経験と思いに関するヒアリング調査』(2024)(外部サイトへリンク)】
同調査では、こうした課題の根底に、「住民組織の長に女性が少なく、平常時から女性が発言しにくい状況」や「無償ケア労働の女性への著しい偏り」があったと指摘しています。
日頃からできる備え
日頃から家庭や地域において、男女の偏りなく役割分担を決めること
被災の場では、性別に関わりなく、多くの人が力を発揮して乗り越えていかなければなりません。
一人ひとりの多様な体験をもとにリーダーを決めるなど、日頃から極力多くの人が意見を出せる環境を作ることが大切なのではないでしょうか。
女性をはじめとしたさまざまな視点を盛り込んだ防災対策をすること
地域の防災訓練は、女性やさまざまな方のニーズを考えられる習慣づくりの場として実施することが重要だと感じます。
その際には、藤沢市災害対策課が作成したチラシを活用できると思います。
- 指定避難所では、開設当初から授乳や着替えができる専用のスペースを設けましょう。
- 仮設トイレの設置にあたっては女性専用トイレを用意し、また防犯上、安全・安心に配慮した場所に設置しましょう。
- 女性用の洗濯物の干し場を確保しましょう。
- 特定の活動(食事づくりや清掃等)が、性別や年齢等により役割が固定化することがないよう、皆で共同して作業をしましょう。
- 男女それぞれの責任者を定め、十分に意見交換をしましょう。
- 女性専用の衛生用品等の生活必需品の配布は、女性が行うようにしましょう。
- DVやセクシュアル・ハラスメントに対する相談窓口を設けましょう。
ただでさえ不安な被災時に、なるべく多くの人が安らぎを感じられるよう、日頃から女性や支援が必要な人たちが必要とすることは何か意識し、周りの人と一緒に考えてみましょう。
(記事:前田)
男性保育士の存在はジェンダーレスな社会への第一歩
さまざまな分野で性別にかかわりなく活躍している人がいます。
今回は、男性保育士にスポットを当て、戸島翔平さん(社会福祉法人伸こう福祉会保育園キディ湘南C-X園長/第18期ふじさわジェンダー平等プラン推進協議会委員)にお話を伺いました。
【プロフィール】
2007年4月に新卒で入社し、保育士として現場業務に従事する一方、ウェブサイトなどを通じた外部発信にも関わる。2011年にキディ百合丘の園長、2013年からはキディ湘南C-Xの主任を務め、2023年より現園の園長として勤務。大規模から小規模まで多様な園での経験を重ね、実績を活かして働き方改革にも取り組んでいる。
Q1:保育士をめざすようになったきっかけを教えてください。
ITスキルに比較的明るい方で、そちらの道も検討しましたが、長時間のデスクワークは合わず、学生時代に短期インターンシップで訪れた保育園での経験が心に残り、そのやりがいに惹かれて保育士の道を志しました。
Q2:保育士として、どのような時にやりがいを感じますか。
子どもたちが何かに興味を持ち、「やってみたい」と自ら動き出す瞬間に立ち会えると、この仕事のやりがいを強く感じます。目を輝かせて夢中になる姿にはその子らしさがあふれていて、見ているこちらの心も動かされます。そんな瞬間を引き出すために、保育者は環境を整え、子どもたちの気づきや挑戦の芽を大切に育てています。
Q3:こども家庭庁の資料によると、2024年(令和6年)4月1日時点で、男性の保育士登録者数は98,676人であり、登録者全体の約5%と低い割合となっています。男性が少ない職場で保育士として働く中で、ジェンダーギャップを感じたことはありますか。
保育事業の立ち上げ時に男性保育士第1号として入職し、それ以降「男性保育士がいて当たり前」という文化が社内に根付いている為、ジェンダーギャップを感じたことは特にありません。ただ現場で男性は1割に満たず、園によっては1人もいないところもあります。男性によっては孤立感を持っても不思議ではありません。その中で、自分にできることを積極的に取り組んできました。男性保育士達と施設間で交流を図ったり、スペースの都合で即席になりがちだった更衣室を整備するなど、性別を問わず働きやすい環境づくりを心がけてきました。家庭に様々な形があるように、保育の現場ももっと多様であってよいはずです。性別に関係なく子どもと関わることは、ごく自然なことだと考えています。
Q4:男性保育士が増えることで、保育現場や社会全体にどのような影響が期待できると思いますか。
男性保育士が増えることで、いずれ「男性保育士」という言葉自体が使われなくなると思います。たとえば学校では「男性教員」「女性教員」と区別せずに呼ばれるのが一般的ですし、性別を特記することが当たり前でなくなる社会が理想です。現に「女性保育士」とはあまり言われないように、保育の現場はまだまだ女性中心で、そこに男性が入ると「男性保育士」と特別に扱われてしまう。その背景には、無意識にジェンダー差別があるように思います。男性保育士の存在は、子どもたちにとってジェンダー教育そのものです。たとえば男性がピンクの服を着ていれば、それを見た子どもたちは自然に「それも普通なんだ」と受け入れるでしょう。そうした日常の積み重ねが、多様性を受け入れる力や、固定観念に縛られない価値観を育んでいきます。だからこそ、男性保育士の存在が、ジェンダーレスな社会への第一歩になるのではないかと思っています。
Q5:性別にかかわりなく、保育士をめざす方に向けて、メッセージをお願いします。
現代の保育は、昔のように子どもを「世話する存在」ではなく、子どもが自ら考え行動し、主体性を尊重することが基本です。そのためには、保育士が日々子どもと丁寧に向き合い、安定した生活を通して、子ども達が様々なことを「感じる」ことが出来るように努めなければなりません。日常の関わりや生活の中で、子どもたちの未来を切り開く力が培われていきます。私たちはそれを支え、そっと背中を押すこと、これは保育のやりがいの一つだと感じています。その為にも、職員の「自分らしさ」を大切にしながら働いてください。保育士が自分らしくいることで、子どもたちは「みんな違っていい」と自然に学んでいきます。
いつか保育士として、どこかでご一緒できる日を楽しみにしています。
インフォメーション
「ふじさわ女性支援計画」を策定しました
女性をめぐる課題が生活困窮、性暴力・性犯罪被害、家庭関係破綻など複雑化、多様化、複合化している中、「女性の福祉」、「人権の尊重や擁護」、「男女平等」といった視点を明確にした「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」が2024年(令和6年)4月に施行されました。
困難な問題を抱える女性に寄り添い、女性一人ひとりの意思を尊重した支援を図っていくため、本市では、「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」第8条第3項に基づく市町村基本計画として、2025年(令和7年)3月に「ふじさわ女性支援計画~女性の生きづらさを解消しウェルビーイングを実現するために~」を策定しました。
本計画では、「誰一人取り残さないインクルーシブな支援を通じて、すべての女性のウェルビーイングを実現する」を基本理念として、民間団体や企業、行政機関など、さまざまな主体が相互に連携を図りながら、取組を進めていきます。
詳細は、「ふじさわ女性支援計画」のページをご覧ください。
6月23日から29日は「藤沢市ジェンダー平等推進週間」です
藤沢市では、国が定める「男女共同参画週間」の期間を、「藤沢市ジェンダー平等推進週間」として、ジェンダー平等・男女共同参画の啓発を行っています。
この機会に、一人ひとりが尊重され、多様性と包摂性のある社会に向け、身近なことからジェンダー平等について考えてみませんか。
啓発事業
- 横断幕の掲出
場所:辻堂駅北口デッキ
期間:2025年(令和7年)6月30日(月曜日)まで - パネル展
場所:藤沢市役所本庁舎1階ラウンジ
期間:2025年(令和7年)6月29日(日曜日)まで - 関連図書展示
場所:藤沢市南市民図書館
期間:2025年(令和7年)7月13日(日曜日)まで
詳細は、「藤沢市ジェンダー平等推進週間」のページをご覧ください。
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情報の発信元
企画政策部 人権男女共同平和国際課
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