ページ番号:32026
更新日:2024年6月21日
ここから本文です。
藤沢市教育委員会『教育長の窓No.216』
2024年(令和6年)6月21日号 教育長の窓No.216
「知識と感覚は分けて考える」
雨上がりの紫陽花が美しく、遅れている梅雨入りも間近になっているようです。そして、今年も猛暑・酷暑が予想されている夏が、いよいよ近づいてきました。
先日、令和6年度の児童クラブ集会が、大道小学校の体育館で開かれ、参加させていただきました。テーマは、「子どものホンネ、大人のホンネ」で、子どもたちの自由な発言を収録したビデオをきっかけに、パネルディスカッションが行われました。「大人がズルいと思うこと」の発言では、「大人はスマホを制限なく使用できる。」など、大人との不平等を訴える発言が多数でした。パネリストからは、「子どもは、大人をよく見ている。」との感想があり、会場も大きくうなずく方が多い印象でした。一方で、「働く大人は、かっこいい。」など、親への感謝の発言もありましたし、「家族揃っての食事が最も幸せ。」など、大人が嬉しくなるような発言が多く聞かれ、子どもの優しさや成長が、さまざまに感じられた素敵な集会でした。
私は、教員対象の研修会などで、「知識と感覚は分けて考える」という話をよくしています。子どもは、知識は未熟な場合が多いのですが、さまざまな感覚は、家庭の躾や教育などで身につけています。大人は、長い人生経験から知識は豊富ですが、感覚は子どもとさほど差はないと思っています。「三つ子の魂、百まで」と言われるように、子どもも大人も同様に、幼少期までに基本的な感覚は身についているという考え方です。教師が子どもから信頼されないケースでは、日頃から、「時間を守ろう。」と言っておきながら、自らは時間にルーズであるなど、子どもであろうが、大人であろうが、人として守るべきルールについて、「先生は、特別。」と約束を反故にする感覚に理由があると思います。大人は時として、子どもを見くびることがあります。それは、知識の未熟さしか見ていないからです。子どもは、大人のおかしな感覚を感じ取り、批判する力は充分身につけています。「信頼される先生になるためには、自分の感覚を疑い、自分がどう見られているかを常に振り返りながら、自分の感覚を改めていくことが大切です。」と研修では伝えています。教員は、高い授業力や指導技術を身につけるために研鑽することは責務ですが、その前に、自らの感覚を磨き、人間力を高め、子どもを導く最も身近な大人として、信頼を得られるように努めながら、日々の教育活動に向き合ってほしいと願っているからです。
「こどもまんなか社会」という言葉が聞かれるようになりました。大人はこれまでも、子どもたちのために最大限の支援と配慮をしてきたことに間違いはありませんが、最近では、「子どもの意見を聴くことが欠如していたのでは。」と言われています。今回の児童クラブ集会は、大人が子どもの声を聴くことの大切さを再認識するきっかけになったと感じました。教育委員会といたしましても、子どもたちの声を大切にしながら、子どもたちの笑顔のために学校を支えてまいりますので、保護者や地域のみなさまのご協力をお願いいたします。
情報の発信元
教育委員会教育部教育総務課
〒251-8601 藤沢市朝日町1番地の1 本庁舎3階
電話番号:0466-50-3556(直通)
ファクス:0466-50-8424