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更新日:2025年9月1日
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藤沢市の道路陥没対策について
当市の道路や下水道等の都市基盤は、高度経済成長期に土地区画整理事業や街路・道路事業等により、集中的に整備してきました。近年、これら都市基盤の老朽化が顕在化し、道路陥没の発生件数も増加傾向にあったことから、「藤沢市道路舗装修繕計画」に道路陥没対策を位置づけ、平成27年度から路面下空洞調査を開始しました。調査で発見された路面下空洞を補修することで、道路陥没を未然に防止しています。
さらに、産官学共同研究により開発した「藤沢市空洞ポテンシャルマップ」を活用し、高ポテンシャルエリアに重点を置いた路面下空洞調査を実施することで、効果的かつ効率的に道路陥没対策を推進しています。その結果、道路陥没件数は大幅に減少しました。
また、当市の道路陥没は下水道管の老朽化等に起因するケースが多いため、道路管理者と下水道管理者が連携し、一体となって対策を実施しています。
これらの取り組みは全国的にも先進的で、他自治体からも注目されています。令和7年1月28日に埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を受け、国土交通省が設置した有識者委員会「下水道等に起因する大規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討委員会」の第2次提言においても、本市の道路陥没対策が取り上げられています。
下水道等に起因する大規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討委員会(外部サイトへリンク)
路面下空洞の調査と補修
路面下空洞調査
空洞探査車で調査対象路線を走行し、レーダー探査測定により路面下空洞の有無を調査しています。
路面下空洞の補修
路面下空洞調査で確認された空洞(異常信号)は、発生深度や規模に応じて陥没の危険性が高い順に、「要緊急対応」、「危険度A~C」の4段階に分類しています。このうち「要緊急対応」の空洞については、発見後早急に補修(掘削による原因調査と土砂等の充填)を行うことで、道路陥没を未然に防いでいます。その他の分類箇所については、経過観察を行うとともに、舗装打ち換え工事等のタイミングに合わせて随時補修しています。
藤沢市空洞ポテンシャルマップとは
本マップは、各エリア(市内を250m四方の1,198メッシュに分割)の「空洞の発生しやすさ(空洞ポテンシャル)」を、色ごとに可視化したものです。
当市の状況を踏まえて設定した、空洞発生の4つの因子(表層地質:砂、下水道:合流式、取付管数:300本/メッシュ以上、地下水位:GL-3m以浅)に基づき、空洞ポテンシャルをHigh+、High、Middle、Lowの4段階で評価しており、色が濃いほど空洞が発生しやすい(高ポテンシャル)エリアであることを示しています。
当市の南側地域は、海に面した砂質系の地盤で地下水位が高いエリアが多く、布設年度の古い合流式下水道が埋設されています。さらに、住宅密集地が多く下水道の取付管数が多いという特徴があるため、高ポテンシャルエリアが多くなっています。
※本マップは各エリアの「空洞の発生しやすさ」を示すもので、道路陥没の危険性を示すものではありません。
藤沢市空洞ポテンシャルマップと空洞ポテンシャル評価因子の組み合わせ(PDF:1,757KB)
活用方法
路面下空洞調査の調査対象路線選定
全市道約1,300㎞の調査を実施することは、財政負担が大きく時間もかかるため、調査開始当初は全主要道路(1・2級道路)約130㎞のみを調査対象としておりました。本マップの活用開始以降は、高ポテンシャルエリアに該当する生活道路(主要道路以外の道路)等を調査対象に加えることで、効果的かつ効率的に調査を実施しています。
高ポテンシャルエリアの優先的な下水道管内調査
当市では、「藤沢市下水道ストックマネジメント実施方針」に基づき、定期的に下水道の管内調査を実施しております。調査箇所の優先度を定める評価項目に本マップを活用し、高ポテンシャルエリアの調査を優先的に実施することで、空洞の発生原因の早期発見に努めています。
平成29・30年度 産官学共同研究「効率的な道路陥没防止手法の研究」の取り組み
平成27・28年度の路面下空洞調査で多くの路面下空洞が確認され、道路陥没も多発していたことから、当時の調査業務受注者である「ジオ・サーチ株式会社」、路面下空洞に関する先進的な研究機関である「東京大学生産技術研究所」、藤沢市の3者で共同研究体制を構築し、平成29から30年度の2カ年にわたり、産官学共同研究「効率的な道路陥没防止手法の研究」を実施しました。
本研究において、「陥没や空洞の発生と拡大のメカニズムを可視化する手法づくり」、「路線ごとの最適な調査サイクルの設定」および財政面に配慮した「道路陥没防止対策を進めていくための仕組み・体制づくり」等に取り組む中で、「試作版・藤沢市空洞ポテンシャルマップ」を開発しました。
本研究の内容については、学会で論文として発表しています。
論文
- H30年度 地盤工学会 藤沢市における効率的な道路陥没防止手法の実践的研究(官学産共同研究) その1 他3編(PDF:1,943KB)
- H30年度 土木学会_藤沢市の効率的な道路陥没防止手法の実践的研究 - モニタリング調査の結果と考察 - 他1編(PDF:644KB)
- H31年度 地盤工学会 藤沢市における効率的な道路陥没防止手法の研究成果報告(官学産 共同研究) その1 他4編(PDF:7,593KB)
- H31年度 土木学会 藤沢市における効率的な道路陥没防止手法の研究成果の報告(官学産 共同研究) 他2編(PDF:1,917KB)
令和6年度 産官学共同研究「空洞ポテンシャルマップの高度化」の取り組み
令和6年度には、前回(平成29・30年度)と同様の3者で、本マップの高度化(ブラッシュアップ)と有効性の検証を目的とした産官学共同研究「空洞ポテンシャルマップの高度化」を実施しました。
最新の道路および下水道の状況、継続して蓄積してきた道路陥没発生状況、路面下空洞調査結果等を踏まえ、「試作版・藤沢市空洞ポテンシャルマップ」の高度化を図り、「藤沢市空洞ポテンシャルマップ」を作成しました。
本マップ活用開始前後で年間の路面下空洞調査延長に大きな差はありませんが、「高ポテンシャルエリアを重点的に対策」してきた結果、道路陥没件数は大幅に減少しました。これらのことから、本マップを活用した道路陥没防止対策が効果的かつ効率的であることが確認できました。
本研究の内容については、学会で論文として発表しています。
論文
- R7年度 地盤工学会 藤沢市道の陥没予防効果向上の取組み(産官学共同研究)-空洞ポテンシャルマップの活用報告- 他2編(PDF:1,886KB)
- R7年度 土木学会 藤沢市道の陥没予防効果向上の取り組み(産官学共同研究 )-陥没対策促進体制の検討- 他2編(2025年9月11日の学会発表後に掲載予定)
「災害時における道路機能の確保等業務に関する協定書」の締結
2025年(令和7年)8月21日付けで、ジオ・サーチ株式会社と「災害時における道路機能の確保等業務に関する協定書」を締結しました。
この協定は、地震や風水害などの災害発生時において、道路陥没の未然防止やライフライン損傷の早期発見を目的とした、路面下緊急点検を、迅速かつ円滑に実施するためのものです。
災害発生後、市の要請に基づき、ジオ・サーチ株式会社が専門的な技術を用いて道路の緊急点検を速やかに実施し、路面下の状況を市に報告します。これにより、道路利用者の安全確保と、緊急車両の通行などに必要な道路機能の維持・早期復旧に貢献します。
今後も市民の皆様の安全安心を確保するため、災害対策の一層の強化に努めてまいります。
情報の発信元
道路下水道部 道路維持課
〒251-8601 藤沢市朝日町1番地の1 分庁舎5階
電話番号:0466-50-3548(直通)
ファクス:0466-50-8422(道路下水道総務課内)